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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/watanabe (15)

  • ヒラリーがベストセラー作家と組んで書いたスリル満点の正統派国際政治スリラー

    共著者のルイーズ・ペニー(左)とヒラリー・クリントン(右) Jean-Francois Berube, Simon & Schuster, Joe McNally <主人公の女性国務長官と大統領の関係は、新任当時のオバマとヒラリーを想像させる> 元大統領のビル・クリントンが、ギネスブックに出てくるほど多くのヒット作を出している作家のジェイムズ・パタースンと組んで書いた『The President is Missing』という政治スリラーを刊行したのは3年前のことだ。この作品は大ベストセラーになり、このペアは今年ふたたび『The President's Daughter』という政治スリラーを出した。それに対抗するように、ヒラリー・クリントンも最近になって政治スリラー『State of Terror』を刊行した。 ヒラリーが共著者として選んだのはルイーズ・ペニーだ。ペニーは、ケベック州の小さな

    ヒラリーがベストセラー作家と組んで書いたスリル満点の正統派国際政治スリラー
  • トランプを支持し続ける共和党が象徴する「民主主義の黄昏」

    <なぜ民主主義は常に不安定で、独裁主義へと向かおうとするのか> 2021年1月6日、上下両院合同会議でバイデンの大統領選出の手続きが行われている連邦議会の議事堂にトランプ支持者が乱入し、警官1人を含む5人が死亡した。その後、自殺した警官もいる。民主党がマジョリティーの下院議会は、議会襲撃事件で「反乱を扇動した」としてトランプの弾劾訴追を決議した。二度も弾劾訴追された大統領はアメリカ史上初めてだ。結果的に上院議会はトランプに再び無罪判決を与えた。 トランプに不満を懐きながらも支持してきた伝統的な共和党の重鎮にとって、トランプがツイッターから永久に追放され、大統領の座を失ったのは、自分たちがコントロールできない「目の上のたんこぶ」を排除するチャンスだった。しかしながら、トランプ弾劾を支持した勇気ある共和党議員は少数派であり、支持者たちから攻撃されることになった。一方で、トランプは自分の党を作る

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  • #MeTooムーブメントの火付け役が暴露した、巨大メディアNBCの驚きの陰謀

    <ハリウッド大物プロデューサーの性暴力を取材していたローナン・ファローに圧力をかけたのは、驚くことに最初に取材を割り振ってきたNBCだった> 2017年10月は、男性が支配する業界で働いてきたアメリカ人女性にとって、歴史に残る大きな転機となった。 最初は10月5日にニューヨーク・タイムズ紙に掲載された告発記事だった。アカデミー賞受賞作や大ヒット作を数多く産み出してきたハリウッドの大物プロデューサーであるハービー・ワインスティーンが、過去30年に女優や従業員に対して「性暴力」や「セクシャルハラスメント」を行ってきたというものだ。 5日後の10月10日、ローナン・ファローがニューヨーカー誌にさらに踏み込んだ記事を載せた。ワインスティーンが13人に性暴力をふるい、3人をレイプしたという内容だ。ニューヨーク・タイムズの5日の記事には「レイプ」という表現はなかったが、ここでははっきりと「レイプ」とい

    #MeTooムーブメントの火付け役が暴露した、巨大メディアNBCの驚きの陰謀
  • 民主党予備選で着実に支持を上げるエリザベス・ウォーレン

    現状の世論調査でウォーレンはバイデン、サンダースに続いて3番手につけているが…… Gretchen Erti-REUTERS <トップを走るバイデンやサンダースにくらべて、ウォーレンへの支持は着実に強固になっている> 前回コラムで書いたとおり、9月7日土曜日、大統領選のバトルグラウンド(決戦州)として知られるニューハンプシャー州マンチェスター市で州の民主党大会が行われ、19人の大統領候補がスピーチした。 スピーチの順番などに関しては不備があったものの、候補者全員に、支持者が路上や会場前でにぎやかにPRをし、会場内のブースで政策を説明する平等な機会は与えられていた。 この大会時点での全米の世論調査の平均支持率は、トップからジョー・バイデン(29%)、エリザベス・ウォーレン(17%)、バーニー・サンダース(15%)、カマラ・ハリス(7%)、ピート・ブーティジェッジ(5%)、アンドリュー・ヤング

    民主党予備選で着実に支持を上げるエリザベス・ウォーレン
  • 【2020米大統領選】「高齢白人男性」同士の争いを懸念する民主党の支持者たち

    <最大の懸念は、有権者の関心が高い気候変動や女性・マイノリティの人権、それにAIが職を奪う未来には想像が及ばないこと> 4月25日にジョー・バイデン前副大統領が公式に出馬を表明し、5月2日にはコロラド州選出の上院議員が加わり、民主党の指名を争う候補は22人になった。バイデンは24時間で630万ドル(約7億円)の寄付を集め、選挙資金でも世論調査でもバーニー・サンダースとトップを争う位置にいる。 トランプ大統領は72歳で、バイデンは76歳、サンダースは77歳だ。事実誤認や突然の怒りや嘘が多いトランプの言動を、70代の現役時代にアルツハイマーをすでに発症していたロナルド・レーガンと比較するメディアもあり、2020年の大統領選が高齢者同士の戦いになることへの懸念が生まれている。 民主党の有権者が抱いている懸念は年齢だけではない。フロントランナーたちが「白人男性」ばかりだという点も、だ。というのも、

    【2020米大統領選】「高齢白人男性」同士の争いを懸念する民主党の支持者たち
  • トランプ暴露本『Fear』が伝える本当の恐怖、もう日本も傍観者ではいられない

    <初日に90万部以上が売れたというボブ・ウッドワード著の暴露は、トランプアメリカを崖っぷちの危機に追い込んでいる事実を突きつける> トランプ就任後、ジャーナリストのマイケル・ウルフ著『炎と怒り(原作タイトル:Fire and Fury)』、元大統領補佐官オマロサ・マニゴールト著『Unhinged(錯乱状態)』など、大統領と彼を取り巻くホワイトハウスの実態を公に知らせる暴露が次々と発売されている。その中で最も期待されていたのが、9月11日発売のボブ・ウッドワードの『Fear(恐怖)』だった。初版のハードカバーは100万部刷られ、発売と同時にアマゾンのベストセラーリストのトップに躍り出た。ウッドワードの講演マネジャーによると初日に90万部以上が売れたということで、出版社サイモン&シュスターにとって史上最高の記録になった。 今年1月にベストセラーになったウルフの暴露は大統領選でトランプ

    トランプ暴露本『Fear』が伝える本当の恐怖、もう日本も傍観者ではいられない
  • アメリカでようやく根付き始めた日本のライトノベル | 渡辺由佳里 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    アメリカの大手書店チェーンではライトノベルがマンガと一緒に並べられている Yukari Watanabe/Newsweek Japan <日ライトノベルの英訳は「会話とキャラクターを中心に」読み進める、マンガのサブジャンルとしてアメリカでも人気が出始めた> 日で非常に良く売れている「ライトノベル」のジャンルだが、2000年代にアメリカで翻訳出版として上陸したときには単発での成功はあったものの根付かなかった。いったん撤退したような形になったが、2014年に「再上陸」した後は売上を倍増させ、定着する気配を見せている。 アメリカには、ティーン読者を対象にしたYA(ヤングアダルト)という人気ジャンルがある。売上高が400億円近い巨大なマーケットで、ヒット作を出した作家の年収が25億円を超えることも少なくない。 YAはファンタジーやロマンスの内容が多いジャンルなので、日の読者は翻訳された日

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  • ハリウッドの白人偏重「ホワイトウォッシング」は変えられるか?

    攻殻機動隊の草薙少佐をスカーレット・ヨハンソンが演じたことは日ではあまり反発を受けていないが Gonzalo Fuentes-REUTERS <白人以外の登場人物を白人の俳優が演じる「ホワイトウォッシング」。ハリウッドでは現在もこの人種差別的な慣行が続いているが、観客側からの批判は強くなっている> 「リベラル」な思想のリーダー的存在であることを誇りにしているハリウッドの映画界だが、最近話題になっている性暴力やセクハラの温床になってきたことなど、偽善的なところも目立つ。ハリウッドの偽善のひとつが「ホワイトウォッシング」だ。 「ホワイトウォッシング」とは、もともとは壁に「しっくい」を塗って白くすることを意味する表現だが、映画界ではダークな肌を白く塗りつぶすことを意味する。つまり、原作では黒人、ヒスパニック、ネイティブアメリカン、アジア人といった非白人(people of color)の主要人

    ハリウッドの白人偏重「ホワイトウォッシング」は変えられるか?
  • カズオ・イシグロの「信頼できない語り手」とは | 渡辺由佳里 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    <社会的、政治的な選択ではなく正統派の作家イシグロがノーベル文学賞を受賞したことには、大きな意味がある> 10月5日、長崎生まれのイギリス人作家カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞した。人にとっても意外だったらしく、英ガーディアン紙によると、最初は今はやりの「偽ニュース」ではないかと疑ったくらいだという。 イシグロは、1982年に27歳で作家デビューしてから62歳の現在まで長編小説は7作しか刊行していない。専業の小説家としては寡作なほうだ。 しかし、『遠い山なみの光』(A Pale View of Hills)と『忘れられた巨人』(The Buried Giant)以外の長編小説はすべて著名な文学賞の最終候補になっており、1989年刊の『日の名残り』(The Remains of the Day)は世界的に権威があるブッカー賞を受賞した。 イギリス貴族の主人への忠誠心と義務を優先して

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  • 米文学界最恐の文芸評論家ミチコ・カクタニの引退

    アメリカ文学界で最も恐れられたニューヨーク・タイムズの文芸評論家ミチコ・カクタニが引退を表明。歯に衣着せぬ毒舌を浴びせられた大御所作家は数知れないが、その業績は高く評価されている> ニューヨーク・タイムズ紙の書評欄主任(chief daily book critic)のミチコ・カクタニ氏が7月末に引退を発表した。このニュースは、瞬く間にソーシャルメディアで広まり、主要メディアも大きく伝えた。 ミチコ・カクタニは、「角谷美智子」という日名も持つ日系2世のアメリカ人で、イエール大学卒業後、ワシントン・ポスト紙に記者として務め、タイム誌を経て、1979年から記者としてニューヨーク・タイムズ紙に加わった。83年から書評を書き始めて現在に至る。 作家ではない文芸評論家の引退がアメリカだけでなくイギリスでも大きなニュースになったのには訳がある。カクタニは、最も影響力を持つ文芸評論家として、英語圏の

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  • アメリカを対テロ戦争に導いた、ブッシュ元大統領の贖罪とは

    <同時多発テロ後のアメリカを対テロ戦争へと先導したブッシュ元大統領。最近出版された自著の画集からは、戦争で負傷した兵士への深い贖罪の意識が感じられる> 筆者が住んでいるマサチューセッツ州は「アメリカで最もリベラルな州」として知られている。それゆえに、ジョージ・W・ブッシュ元大統領への反感は強い。 ブッシュは、高所得者優遇の減税で国民の収入格差を広げ、同時多発テロ後の国民感情を利用してネオコン(新右翼)のアジェンダを推し進め、アフガニスタン戦争とイラク戦争を開始し、クリントン政権が黒字にした財政を大幅な赤字にして、経済成長を遅らせ、金融危機を招いたからだ。 ところが最近になって、ブッシュを毛嫌いしていた人たちが、「ブッシュがそう悪人に思えなくなってきた」「懐かしさすら感じる」と言い出した。アンチ移民、アンチ環境保護、アンチ芸術、アンチ科学などの政策を押し進め、根拠がない噂を真実と主張し、自分

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  • 大統領選の波乱を予兆していた、米SF界のカルチャー戦争

    <ファン投票で受賞が決まるSFのヒューゴー賞で昨年、「反リベラル」作家の作品が候補リストを独占する異変が起きた。文化的多様性を排除して白人至上主義へと繋がるようなこの動きは、今年の大統領選を予期させる出来事だった> ヒューゴー賞(Hugo Awards)は、世界中のSFファンが注目するSF、ファンタジー、ホラージャンルの重要な賞だ。 受賞作は世界SF大会(ワールドコン、 World Science Fiction Convention)に登録したファンの投票で決まり、大会の間に開催される授賞式で発表される。気取った文芸賞とは異なり、批評家ではなくファンが決める賞なので、必ずといって良いほど面白く、ベストセラーにもなる。そういった点で、とても信頼性がある賞だ。少なくとも、2015年まではそうだった。 ヒューゴー賞の信頼を地に落としたのは、「サッド・パピーズ(Sad Puppies、悲しい子犬

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  • トランプに熱狂する白人労働階級「ヒルビリー」の真実

    <知識層からときに「白いゴミ」とまで蔑まれる白人の労働者階級。貧困と無教養を世代を越えて引き継ぐ彼らに、今回の選挙で「声とプライド」を与えたのがトランプだった>(写真:筆者が取材したニューハンプシャー州のトランプの選挙集会) 無名の作家が書いたメモワール『Hillbilly Elegy』が、静かにアメリカのベストセラーになっている。 著者のJ.D.ヴァンスは、由緒あるイェール大学ロースクールを修了し、サンフランシスコのITベンチャー企業の社長として働いている。よく見るタイプのエリートの半生記がなぜこれだけ注目されるのかというと、ヴァンスの生い立ちが普通ではないからだ。 ヴァンスの故郷ミドルタウンは、AKスチールという鉄鋼メーカーの拠地として知られるオハイオ州南部の地方都市だ。かつて有力鉄鋼メーカーだったアームコ社の苦難を、川崎製鉄が資提携という形で救ったのがAKスチールだが、グローバル

    トランプに熱狂する白人労働階級「ヒルビリー」の真実
  • アメリカ政治を裏で操るコーク兄弟の「ダークマネー」

    <今年の大統領選はトランプが共和党の筆頭候補になるなど予想外の展開で進んでいる。既存の支配階層「エスタブリッシュメント」への有権者の強い反発が広がっているためだ。実はこうした現象の裏には、アメリカ政治をコントロールする保守系資の策略があった> 2016年の大統領予備選では、政治評論家やジャーナリストがまったく予期しなかったことが起きている。テレビのリアリティ番組で有名になったビジネスマンのドナルド・トランプと、社会活動家の歴史が長く、無所属で知名度がほとんどなかった左寄りリベラルの上院議員バーニー・サンダースが熱狂的な支持を得ている。 以前、別のメディアでも書いたが、この現象の背後には、「収入格差」というアメリカの社会問題がある。現在のアメリカでは、上位0.1%に属する少数の金持ちが持つ富は、下方90%が持つ富の合計と等しい。そして、70年代にはアメリカの過半数だった「中産階級」が消えつ

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  • ソーシャルメディアはアメリカの少女たちから何を奪ったか

    ソーシャルメディアで過激な性情報に晒されることでアメリカの10代の性行動は大きな影響を受けている Martin Dimitrov-iStock. どの時代のどの国にも、子ども同士の「いじめ」はある。 筆者は、テレビがまだ一般家庭に普及していなかった時代に日の学校で執拗ないじめを経験したし、インターネットの利用がまだ一般的ではなかった2001年から数年間、アメリカの公立小学校で教師や親と一緒にいじめ対策に関わった。どの国のどの時代でも、教師や親がどんなに努力しても子どもたちのいじめを察知するのは難しい。加害者はもちろん、被害者も報復や孤立を恐れて大人には打ち明けない。だから、被害者は精神的に追いつめられ、自殺という悲劇に発展することもある。 ソーシャルメディアの普及により、いじめの場はネットに移行し、ますます状況は悪化した。「Cyberbullying」と呼ばれるネットを利用したいじめは、

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