一時は「グーグル本」が流行したが、最近は「アップル本」があふれている。しかし私の読んだ限りでは、"iCon"が読み物としておもしろかったぐらいだ。特に日本人の書いたものは、ウェブの2次情報の切り貼りとジョブズ礼賛ばかりで、何の参考にもならない。 その中では、Wiredの編集者が書いた本書は、ジョブズ自身へのインタビューを含めて、新しい情報がある。"iCon"など、これまでのアップル本は内部抗争のゴタゴタ(確かにおもしろいのだが)ばかり書かれていて、肝心の経営戦略について書かれたものがほとんどないが、本書は「スティーブの頭の中」をさぐることによって、その戦略を分析している。 ・・・といっても、常識的な意味での企業戦略とかマーケティングが解説されているわけではない。「アップルには戦略チームというものがないんだ。マーケティングリサーチの予算もない」と同社のエヴァンジェリストだったガイ・カワサ
きのうの記事には、予想どおりアップル・ファンからたくさん批判が来たが、多くの人がしゃれだとわかってくれたようだ。「まぐれ」は誰にでもあるが、それを「当たり」として実現するには大変な才能と努力が必要だ。ジョブズの成功は、単なる偶然ではない。 ただジョブズをほめる話の多くが、生存バイアスの強い結果論であることは否めない。本書もその域を出ないが、いまだに「ものづくり」や「すり合わせ」にこだわっている財界や役所の人々には読んでほしいものだ。 以前の記事でも書いたように、ITの世界では株主資本主義には限界がある。奴隷制が禁止されているので、株主はもっとも重要な人的資本をコントロールできないからだ (*)。したがって「企業は従業員のものだ」という日本的経営にも一理あるが、そこで大事にしているのは個人ではなく、会社に忠実な「従業員」だ。そして従業員も、その会社が好きで一生いるわけではなく、やめても他
今年のFortune誌の「もっとも賞賛すべき企業」にアップルが選ばれ、「もっともすぐれた経営者」にスティーブ・ジョブズが選ばれた――と聞いても、誰も驚かないだろう。しかし同誌のインタビューで、それにコメントするのをジョブスは拒否した。なぜかって? インタビューした記者にもわからない。 ジョブズが、個人的にはとてもいやな奴だというのは、シリコンバレーでは誰もが知っている。彼は自分の創業した会社を追い出され、新しくつくった会社NeXTも失敗した。わがままで他人のいうことを聞かず、細かいことまで口を出す、普通なら最悪の経営者だ。そんな男が、なぜ世界一の経営者になったのだろうか? それにいろんな理由をつけるのは、タレブのいう生存バイアスだ。たとえば1024人がサイコロ賭博をし、勝った者はそれを次回に賭け、負けた者は退出するとしよう。あなたが1万円を元手にして「半」だけに10回続けて賭けたら、1
10月17日、ついにアップルは、iPhone についてサードパーティのネイティブソフト開発を認め、そのために開発キット SDK を出すことを Steve Jobs の公開書簡の形で明らかにした。 Apple: “Third Party Applications on the iPhone“: 17 October 2007[注:Hot News の一項目なので直接のリンクはできない] * * * ちょっといわせて欲しい。我々だって iPhone で動くネイティブなサードパーティのアプリケーションを望んでいる。そのため2月には SDK[Software Development Kit:ソフトウェア開発キット]がデベロッパの手に届くようにするつもりだ。活気溢れるサードパーティの開発者コミュニティが iPhone を中心にでき、何百という新しいアプリケーションがユーザーのために出
iPhone の大幅値下げをめぐる騒動について、ロンドンの MarketWatch が大変皮肉な記事を書いている。 MarketWatch: “Apple introduces the iPology” by Tom Bemis: 07 September 2007 * * * “iPology” アップルは、消費者の苦情を PR の只乗りに変えてしまう新しい革新的なマーケティング手法を開発した。その名は「iPology」だ。[注:謝罪 apology からの造語] LONDON (MarketWatch) — Apple Computer has developed and introduced an entirely new marketing innovation called the iPology that turns customer complaints in
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