駆け込み客が殺到し、調子がいまひとつの自販機を点検する佐原商店の店長(左)。遠来の客との会話も弾む=10日、秋田市土崎港西1丁目 秋田市の秋田港近くで訪れる人の胃袋を温めてきたうどんとそばの自動販売機が、約150メートル西側の道の駅「あきた港」に移されて存続することが16日、決まった。廃業が伝えられて以降、自販機の前には連日、人だかりや行列ができており、かつおだしのつゆが温まりにくい状態が続いていた。廃業を決めた社長は「近所に引き受けてもらい、安心した。港周辺のにぎわい創出に役立ててもらいたい」とほっと胸をなで下ろしている。 自販機を所有し今月末で廃業する佐原商店の佐原孝夫社長(73)と、道の駅を管理する東北ダイケン(仙台市)秋田支店との間で譲渡に関して合意した。道の駅は高さ143メートルのポートタワー「セリオン」を核とする施設。自販機は4月以降、敷地内に設置されるが、具体的な場所は東北
津波避難「釜石の奇跡」に住民ら複雑 東日本大震災発生時、釜石市のほとんどの児童生徒が避難して助かったことが「釜石の奇跡」と呼ばれることを、地元は複雑に受け止めている。学校に関係した犠牲者の遺族の心情や防災教育の成果だったことを強調する市は「奇跡」を使わず「釜石の出来事」と表現する。震災から間もなく4年。仙台市で3月にある国連防災世界会議を前に、市は理解を求めている。 釜石市では1000人以上が犠牲になった中、全児童生徒の99.8%に当たる2921人が津波から避難して無事だった。避難行動は「釜石の奇跡」と報道され、防災教育のモデルとして知られるようになった。現在も出版物などが相次ぐ。 市も当初「釜石の奇跡」と呼んだが、2013年3月の庁議で使用しないことを申し合わせた。公文書を含め庁内では「釜石の出来事」に改めた。 震災では避難の途中、保護者に引き渡した児童ら子ども5人が死亡、学校職員
東日本大震災で被災した第三セクター三陸鉄道(宮古市)が、4月に全線復旧して半年余りがたった。「復興の象徴」として全国に発信され、上半期は観光客の大幅増で21年ぶりに経常黒字となった。それでも沿線の人口減少は著しく、下半期以降はさらに安定した経営が求められる。この半年を振り返り、今後を展望する。(盛岡総局・斉藤隼人) <ツアー1日20件> 「ここはかつて学生でにぎわった場所です。家は全て流されました」 10月中旬に運行された三陸鉄道南リアス線の釜石発盛行きの震災学習列車。社員が沿線の津波被災地で説明し、三重県からのツアー客23人が聞き入った。 出発時は和やかだった表情が、みるみる険しくなっていく。参加した自営業成井房枝さん(69)は「ただ復興を祈るばかり。私も防災について真剣に考えようと思う」と誓った。 完全復旧した三鉄。その存在自体が観光資源となり、全国から人を呼び込む。 宮古市
久慈市など岩手県沿岸を舞台に昨年放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」のファン同士の交流を図ろうと、「あまちゃんサミット」が30日、盛岡市のアイーナで開かれた。 県内のイベント企画会社などでつくる実行委員会の主催で、県内外から約250人が参加した。テーマ曲の生演奏を聴いたり、名場面を振り返ったりして、あまちゃんの世界を満喫した。 パネル討論には、達増拓也岩手県知事、撮影に協力した三陸鉄道久慈駅の橋上和司駅長らが登場。橋上駅長は撮影スタッフと地元の人々が一体となって準備に取り組むなどした裏話を紹介。「新しいあまちゃんの魅力を知ってもらうためにも、何度も三陸沿岸を訪れてほしい」と話した。 達増知事は「これまでにない地域振興策に取り組めるチャンス。全国のファンとのつながりを大事にしていきたい」と語った。 2014年08月31日日曜日
日本人だけで約310万人が亡くなった太平洋戦争の終結から69回目の8月15日が来る。再び戦闘参加に道を開きかねない集団的自衛権の行使容認が閣議決定され、歴史の岐路に立つわたしたちは戦争からいま何を学び、次代に伝えればいいか。二・二六事件青年将校の遺族で軍靴の時代の語り部、弘前市の99歳の波多江たまさんに聞いた。(編集委員・寺島英弥) <波多江さんは、1936年に起きた二・二六事件に参加し、処刑された青森市出身の対馬勝雄中尉の妹。軍部から「国賊の家」とされ、沈黙を強いられた。「兄の真実を明かしたい」と91年、遺稿・回想集「邦刀遺文」を家族と自費出版した。> -対馬中尉は、どんな時代に生きたのですか。 「誰もが貧しかった。家は青森市の浜の新開地にあり、小作の次男の父がバラックで魚屋をしました。学校には弁当すら持たない子ばかり。兄は中学校の月謝を払えぬ苦しい家のため、父に黙って仙台陸軍幼年学
核心評論/復興への意欲むしばむ 立ちはだかる風評の壁 「大しけ 養殖ワカメ直撃」-2月19日朝の河北新報に載った大見出しだ。記録的大雪を降らせた2月の南岸低気圧が、復興途上の宮城県気仙沼市周辺の養殖ワカメの8割を奪った。「また壊滅だ」と漁業者を嘆かせた。 問題はそれで終わらない。同月末、同じ東日本大震災の被災地、石巻市北上町の仮設住宅に、取材の縁を重ねる漁業佐藤清吾さん(72)を訪ねた。 宮城県漁協の北上町十三浜支所(組合員約300人)運営委員長で、あの津波で妻と孫、兄姉ら身内十数人を亡くした。 「ここのワカメも半分がやられた。これだけの大被害で品薄なのに、値が全く上がらない。おかしいだろう」と言う。 地元のワカメ養殖は約60年の歴史があり、外洋の荒波で育つ「十三浜ワカメ」は、味の良いブランド物として知られる。 佐藤さんによると、収穫後、浜で業者に買い取られる生ワカメは今、1キロ
大雪で車立ち往生 避難の飯舘村民、仮設から命のおにぎり ドライバーたちにおにぎりの炊き出しをした福島県飯舘村の仮設住民ら=19日午後、福島市 大雪で多くの車が立ち往生した福島市の国道4号で16日、沿道の仮設住宅に暮らす福島県飯舘村民がおにぎりを炊き出し、飲まず食わずのドライバーたちに次々と差し入れた。持病のため運転席で意識を失いかけていた男性は19日、取材に「命を救われた思いだった」と証言。東京電力福島第1原発事故に伴う避難が続く村の人たちは「国内外から支援を受けた恩返しです」と振り返った。 福島県三春町のトラック運転手増子徳隆さん(51)は15日、配送を終え、郡山市の会社に戻る途中だった。激しい雪で国道は渋滞。福島市松川町で全く動かなくなった。 16日昼ごろ、糖尿病の影響で頭がぼーっとしていた。窓をノックする音で気が付くと「おにぎり食べて」と差し出された。 国道を見下ろす高台にある
「大雪」元代表ら5人逮捕 3000万円横領の疑い 岩手県警に逮捕され、捜査車両に乗り込む岡田容疑者=4日午前10時30分ごろ、旭川市 東日本大震災の緊急雇用創出事業の事業費を私的に流用したとして、岩手県警捜査2課と宮古署は4日、業務上横領の疑いで、事業を岩手県山田町から受託したNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市、破産手続き中)元代表理事の無職岡田栄悟容疑者(35)=旭川市=ら5人を逮捕した。 県警は5人の認否を明らかにしていない。県警は同日、5人を旭川市などから盛岡市に移送し、役割分担や巨額の事業費の流れ、使途などを調べる。 5人の逮捕容疑は2012年10月上旬、12年度事業の事業費約7億9000万円の前払い金3000万円を横領した疑い。山田町が3日、県警に告訴状を提出し、受理されていた。 捜査関係者によると、5人は前払い金をリース会社「タレスシステムアンドファシリティー
「あまちゃん」放送 台湾のTV 久慈を取材 海女の素潜り漁の舞台を紹介する台湾ケーブルテレビ局のリポーター。中央は岩手県の観光PRキャラクター「うにっち」 NHK連続テレビ小説「あまちゃん」を放送している台湾のケーブルテレビ局「ビデオランド(緯来電視網)」が、正月番組の取材のため、あまちゃんのロケ地となった岩手県久慈市を訪問した。 県の担当者が同行し、撮影スタッフやリポーターら女性5人が12日までの4日間、海女の素潜り漁の舞台、小袖海岸などを撮影。日本語で「じぇじぇじぇ」と言いながらの現地リポートや、大阪からの観光客にインタビューをしていた。台湾では、じぇじぇじぇを「接接接」と書くという。 取材は岩手県を紹介する観光PR番組用で、責任者の郭瓊芬さん(45)は「あまちゃんは台湾でも人気。番組が岩手や東北を観光するきっかけになってほしい」と話していた。 取材チームは三陸鉄道や平泉町の中尊
「潮騒」の余韻消さない あまちゃんロケ地の久慈関係者 「あまちゃん」の放送期間中、前年比30倍の観光客が訪れた久慈市の小袖海女センター NHK連続テレビ小説「あまちゃん」が9月末に終了し、メーンのロケ地となった岩手県久慈市の観光関係者が「あまちゃん効果」をいかに持続させるかに知恵を絞っている。「あまちゃんハウス」の開設などで、観光客がドラマの余韻に浸れる工夫を打ち出していく。 小袖海岸にある小袖海女センターは、撮影スポットを一目見ようと、多くの人が訪れ、4~9月の来場者は前年の30倍に当たる14万6900人に上った。 海女の素潜り実演は9月末で終了し、人出は一段落したが、今も週末は1日1000人以上が訪れる。仙台市太白区の男性(33)は「放映が終了し、『あまロス症候群』になっていたが、ドラマに出てくる灯台や海を見て癒やされた」と笑顔で語った。 センターは東日本大震災で被災し、今は仮設
久慈琥珀ブランド化へ戦略次々 「あまちゃん効果」業績V字回復 久慈琥珀のアクセサリー商品。「あまちゃん効果」後の販路拡大が課題となっている=仙台市青葉区の久慈琥珀仙台店 琥珀(こはく)商品の製造、販売を手掛ける久慈琥珀(岩手県久慈市)が、新戦略に挑んでいる。東日本大震災で業績が落ち込んだが、久慈市を舞台としたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の追い風もあって本年度はV字回復を達成。ブーム後をにらみ、技術開発や販路拡大を進める。 テレビ放送と重なる中間期(3~8月)の同社の売上高推移はグラフの通り。震災があった2011年度に大きく落ち込んだが、本年度は過去5年で最高となった。 新田久男常務は「『あまちゃん』効果で久慈の知名度が上がり、首都圏でも反応してもらえるようになった」と手応えを語る。 回復基調の業績を維持するため、同社は製法研究に力を注ぐ。 粉末状にした琥珀をプレス加工する新技
「たろちゃんハウス」で感謝祭 「あまちゃん」も応援 能年玲奈さんも餅まきに参加した仮設商店街の感謝祭 岩手県宮古市田老地区の仮設商店街「たろちゃんハウス」が開設から2周年を迎え、22日、感謝祭を開いた。会場は郷土芸能や出店でにぎわった。 商店街がある市保養施設「グリーンピア三陸みやこ」敷地内の駐車場で開催。NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」ヒロイン役の能年玲奈さんがゲストで参加し、訪れた約300人に紅白餅をまいた。 たろちゃんハウスは、中小企業基盤整備機構が建設し、2011年9月25日にオープンした。現在、日用品店や理髪店など22店舗が入居する。商店主の多くは東日本大震災前、田老地区中心部の巨大防潮堤そばで営業していた。 ある商店主によると、売り上げは震災前の約7割まで戻った。一方で、グリーンピア敷地内の仮設住宅は最大407世帯から約340世帯まで減少。観光客も防潮堤周辺を見て帰
刺し子「無印良品」に 岩手・大槌の被災女性たち商品製作 無印良品と共同で開発した商品を作る女性たち カモメと波を縫い取りしたコースターのサンプル 東日本大震災で被災した岩手県大槌町の女性たちによる「大槌復興刺し子プロジェクト」と、全国展開する生活雑貨店「無印良品」のコラボ商品が誕生した。14日に一部店舗で試行発売し、収益の一部は製作者に支払い、生活再建の一助にしてもらう。大手雑貨店の支援に、女性たちは張り切って針を進めている。 無印良品を展開する良品計画(東京)と、プロジェクトを運営するNPO法人「テラ・ルネッサンス」(京都市)が商品を共同開発した。 コースター(500円)ティーマット(800円)ランチョンマット(1000円)の3種類。麻の端布を有効活用し、町の象徴の波とカモメを縫い取りした。 角度を変えると「3.11」と読め、震災が風化しないようにとの思いも込めた。それぞれ1枚当た
まめぶ盛況じぇじぇ 「あまちゃん」に登場、久慈の郷土料理 東京・銀座の「いわて銀河プラザ」で、入荷したばかりの冷凍まめぶを手に取る買い物客 岩手県久慈地区の郷土料理「まめぶ汁」の人気が急上昇している。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」に登場したのがきっかけで、地元では土産用の冷凍まめぶの生産が需要に追いつかない状況だ。東日本大震災後、観光産業が冷え込んでいた久慈地区の関係者は「まめぶ人気を復興につなげたい」と意気込む。 まめぶ汁は、クルミと黒砂糖のあんを包んだ小麦粉の団子「まめぶ」と、ニンジンやゴボウなどの具材を使ったしょうゆ仕立ての汁物。久慈市山形町周辺で食されている。ドラマでは「おかずかおやつか分からない微妙な食べ物」として登場した。 冷凍まめぶは、岩手県内の土産店や東京・銀座のアンテナショップ「いわて銀河プラザ」などで販売されている。 銀河プラザでは、この1カ月で約500袋が売
久慈の魅力 GWに凝縮 NHK朝ドラ「あまちゃん」ロケ地 「あまちゃん」の収録が行われた海を見学する観光客=久慈市の小袖海女センター前 NHK連続テレビ小説「あまちゃん」のメーンロケ地となっている岩手県久慈地域で、さまざまな関連イベントや企画が計画されている。ゴールデンウイークに合わせ、地元観光関係者らが郷土料理のまめぶ汁を販売したり、お座敷列車を運行したりして、あまちゃんファンに「北三陸」の世界を満喫してもらう。 主人公が海に潜るシーンなどが撮影された岩手県久慈市の小袖海岸付近は、平日でも観光客が絶えず、連休中はにぎわいが増している。海女のウニ採り実演はシーズンオフだが、青森県五戸町の藤村キネ子さん(76)は「ドラマの風景が見られ、楽しかった」と笑顔で語った。 市観光物産協会と小袖北限海女の会がまめぶ汁(300円)や海女磯ラーメン(500円と800円)などを小袖海女センター前で販売し
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