本当に俺にプロレスの話を聞きたい? だとすると、ばあちゃんの話から始めなきゃいけないな。 でも、約束してくれ。俺に、プロレスは〝芝居〟なのか?って、絶対に聞かないでくれよ。 ばあちゃんはいっつも、自分の小さな部屋に籠もってテレビを観ていた。小さい頃の俺も、ばあちゃんと一緒に一晩中テレビを観ていた。いや実際は一晩中ってわけじゃなく、九時か十時になるとばあちゃんは、明日も学校があるだろとかなんとか言って俺を部屋から追い出した。 ばあちゃんだって完全に家に閉じ籠もっていたわけじゃない。ばあちゃんが毎朝何時に起きているのか、じつは今でも知らないけど、朝起きるとまず近くの廟に行って、近所のじいちゃんやばあちゃんたちのダンスの隊列に加わっていた。午後、天気が悪くなければ、散歩するついでに近くの小学校まで俺を迎えにきて一緒に家に帰った。あの頃、来福は生まれたばかりだった。 この辺は少し早送りするよ。中学