1月14日、「中国空母の父」と呼ばれた劉華清提督が亡くなりました。劉提督といえば空母をイメージしますが、彼の中国の海洋戦略における功績はそれだけにとどまりません。近年注目されるようになった「接近阻止/領域拒否(Anti-Access/Area-Denial:A2AD)」戦略も、劉提督の指揮の下に生まれた構想です。 中国の概念的な海洋防衛ラインは今ではグアムやサイパンまで届くような壮大な規模となっています。とはいえ、もちろん初めからそうであったわけではありません。中国の国力の増大ともに戦略的辺彊(参照)が広がり、それに伴って海洋の防衛ラインも拡大してきました。本稿では、そうした中国の海洋防衛ラインの推移を海軍の成長と絡めて見てみたいと思います。 毛沢東の「海の長城」 以前のエントリでも紹介しましたが、中国の歴代王朝では海を守るという概念が希薄でした。1996〜2003年に中国の海軍司令員を務