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  • 100日面会交流で親権変更の判決

    昨年、話題になった「離れて暮らす親と子どもとの面会交流に積極的な父親に親権を認めた千葉家裁松戸支部判決」。結局、東京高裁でひっくりかえったけど、代理人弁護士が記者会見まで開いたものだから、すっかり話題になりましたね。 こういう判決って、これが初めてではなく、実は、ときどき、出ているんです。ただ、家裁の審判は非公開だし、担当弁護士も記者会見まで開かないから、話題にならなかっただけです。 今回の判決の特殊性は、母親に格別問題がなかったことです。理由は単純に父親のほうが面会交流に積極的だということですね。以前見聞したケースは、母親のパーソナリティが非常に個性的なケースで、これはやむを得ないというケースもありましたが、今回は、普通の方でした。 我々の周囲の弁護士は、ほとんど全員、「松戸の判決は理解不能」ということで一致していました。というか、「枕営業判決」の裁判官と並んで、「この裁判官、大丈夫?」

    AFCP
    AFCP 2017/05/01
    "実務でも、この判決は、完全に無視。実務に与えた影響は皆無です。ときおり、父親側から、親権問題等でこの判決を出す方がおられましたが、「それが何か?」という感じ"
  • 面会交流に関する二つの見解

    面会交流は、非監護親からは、「親が子供に会う権利だ」とする意見がある。同時に、監護親である母からは「産んだ母親が面会させるべきか決める権利があり、家裁は口を出すべきでない」という意見もある。 この正反対の考えは、実は、根っこは同じである。いずれも、親の子供に対する権利という側面を強調した考えである。 これは、わが国の伝統的な家族観に由来する。もともと、わが家族法は、戦前の家族制度の色彩を強く残しており、親子の関係を、「親の子に対する支配権」という観点から規定している。「子に対する親としての義務」という意識は希薄である。 わが民法典も、そのような規定になっている。平成23年改正前は、民法第820条は、「親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」と定めていたし、さらに、同法第822条(懲戒)は、「親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、

    AFCP
    AFCP 2016/08/07
    "わが国では、面会交流も含めて、国民全体に「子の親に対する権利」「子に対する親の義務」という発想は薄く、「親の子に対する権利」という側面が強調される傾向にある"
  • 嫡出否認規定とDNA鑑定その2

    前回の続きです。 最高裁の判断は、3つの事案についてなされました。 〔札幌高裁ケース〕 ① 不倫して他の男性の子供を産んだ。 ② 夫は、他の男性の子供だということを知っていたが、それでもがんばって父親として育てていた。 ③ しかし、は、夫を捨て、不倫相手のところに子供を連れて行った。 ④ 父親は、ものすごく子供をかわいがっていた。 ⑤ しかし、今では、子供が血縁上の父をパパと呼んでいる。 ⑥ 母親が子供を代理して、戸籍上の父に親子関係不存在確認訴訟を提起した。 ⑦ 高裁判断―親子関係不存在確認訴訟を認める。 理由 DNA鑑定で親子関係のないことが明らかである。 離婚が成立していて、戸籍上の父との家庭は崩壊し、血縁上の父との新たな家庭が形成されている。 〔大阪高裁ケース〕 ① 夫が単身赴任。たまに家に帰る程度。 ② 留守の間に不倫で他の男性の子供を産んだ。 ③ 夫はちゃんと子供の育

  • 嫡出否認規定とDNA鑑定

    〔嫡出子と非嫡出子〕 民法は、ちゃんと籍入れた夫婦の間の子供を嫡出子、そうでない子供を非嫡出子として、子供を二種類に分類しています。 この区別で、子供にどういう違いが生ずるかというと、ほとんどありません。かつては、相続分で違いがありましたが、両親が入籍していなかったというだけの理由で相続分が半分になるなんて、どう考えても、むちゃくちゃな話で、現在は、非嫡出子の相続分は廃止されました。 そうすると、子供を嫡出子と非嫡出子に「分類」すること自体に、どういう必要性があるのか、親の勝手な都合で子供達を二種類に分類して良いのか、かなり、疑問ですが、嫡出子と非嫡出子の区別は、最高裁の違憲判決後も、厳然と維持されています。 唯一残された区別は、父子関係の争い方です。一言で言えば、嫡出子の場合はやたら厳格で、非嫡出子の場合は、かなり、ゆるいです。 〔嫡出否認の訴え〕 まず嫡出子の父子関係の確定ですが、民法

  • 面会交流事件は一番難しい

    弁護士が扱う事件は多種多様で、簡単な事件もあればやたらと難しい事件もある。一番難度の高い事件は何かといわれると、個人的には、一番難しいのは、面会交流事件だと思っている。 「会うか会わないか、会うとしたら場所と回数を決めればよい」と割り切れば単純な事件だが、実際は、そうはいかない。難しい原因はいくつかある。 [難しさの原因1 弁護士の未成熟] 面会交流トラブルの最大の問題点は、未だに我が国では、この問題は、当事者、代理人弁護士、裁判所を含めて、この問題に「慣れていない」ということである。特に代理人弁護士の中には、面会交流をもっぱら法律的側面からしか捉えていない弁護士が多い。面会交流のために、子供が両親の争いに巻き込まれてしまっているという現状を認識できておらず、どうしたら子供のためになるのかという観点が欠如し、依頼者よりも感情的になる代理人さえ少なくない。 平成15年では、面会交流トラブルで

    AFCP
    AFCP 2015/11/10
    事件数が急増しているが故に慣れている弁護士が足りない、と。"どうしたら子供のためになるのかという観点が欠如し、依頼者よりも感情的になる代理人さえ少なくない" あるある……。
  • 家庭裁判所は、面会交流における「子の福祉」をどのように考えているか?DVケースで

    面会交流を求める側も、拒否する側も、大義名分に使われるのが、「子の福祉」である。子どもと会うことが子の福祉にかなう、いや、会わせるとかえって子の福祉に反する。面会交流で対立する当事者が、ともに「子の福祉」を理由にする。 これは、「子の福祉」という概念が非常に曖昧だからだ。 こういう曖昧な概念だけに、面会交流を希望する者も、拒否したい者も、現在、家庭裁判所が、「子の福祉」をどのように考えているか、を認識しておく必要はある。 [昔の考え] 子の福祉に関する家裁の認識は、ある時点を境にして大転換している。 1、まず基は、「両親の紛争に子を巻き込まない」という考え。これは、今も現在も、変わっていない。 2、ただ、かつては、 「だから、夫婦間の緊張関係が激しいときは、子供との面会はさせるべきでない」 というのが裁判所の考えだった。例えば、離婚訴訟で激しく争っているとき、子供は面会させるべきでないと

    AFCP
    AFCP 2015/02/02
    "子の福祉に関する家裁の認識は、ある時点を境にして大転換している"
  • 妻がアスペルガーの場合、面会交流をかたくなに拒否する

    今、離婚事件で当事者が一番感情的になりやすいのが面会交流である。特に父親は、親権を奪われたうえに、子供とも会えないとなると、それは父親として生きることの否定そのものにつながるから、何が何でも子供との面会交流は実現したいと思うのは、人間として、当然の感情である。 面会交流の求めに対し、母の反応は多様で、母のほうが面会交流に積極的な場合が、多数あるとはいえないけれども、実は、結構ある。「別れても父親なんだから、もっと父としての自覚をもって、子供とできるだけ会ってもらいたい」という相談は、かなり経験している。 一方、父親には子供とは絶対会わせたくないという母親もいる。その理由は多様で、「アイツが、自分の分身である子供と面会するなんて絶対に嫌」という、いわば離婚紛争の延長戦で感情論で考える人もいるし、再婚相手に対する気遣いから面会交流を拒否する母親もいる。 しかし、面会交流をかたくなに拒否する母親

    AFCP
    AFCP 2014/08/16
    うーむ。まあ全体の論調はともかく、試行的面会交流からというのは妥当だろうなあ。
  • 配偶者が病気になった場合に離婚できるか

    実務上、しばしば問題になる離婚原因に配偶者が病気になった場合があります。 これは、最高裁が、配偶者が強度の精神病の場合のケースですが「病者の今後の療養、生活等についてできる限りの具体的な方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込みのついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許さない」と判断していることから、配偶者が病気になっても、それだけでは、なかなか離婚できないと誤解されているからです。 この基準からすると、配偶者が病気等の場合、離婚したい配偶者は、 「病者の今後の療養、生活等についてできる限りの具体的な方途を講じ、前途に、その方途の見込みのつける必要がある」 ということになりそうです。 しかし、裁判所は、この基準をすべての案件に形式的に適用しているわけでは、ありません。以前、このブログでも述べたとおり、ここでも、離婚原因の判断にあたって、

    AFCP
    AFCP 2014/05/17
    "配偶者が病気等の場合、離婚したい配偶者は、「病者の今後の療養、生活等についてできる限りの具体的な方途を講じ、前途に、その方途の見込みのつける必要がある」ということになりそう"
  • 自筆証書遺言「偽造」問題について裁判所は、どのように判断するか

    最近、やたらと相談・依頼が多いのが、自筆証書遺言の有効性に関するトラブルである。「被相続人の書いたものではない」「被相続人は、書く能力はなかった」等々、その理由は、もろもろであるが、おおむね、 遺言能力がないといいう理由で無効を主張する場合と 偽造だという理由で遺言の無効を主張する場合とに 分かれる(ただし、法律的には、遺言の偽造の場合、「無効」ではなく、「不存在」である)。 今回は、このうち、「偽造」問題について、裁判所の判断基準を述べよう。 まず、裁判所は、筆跡は、ほとんど参考にしない。 依頼者や相談者が、弁護士に偽造を主張する最大の根拠は、たいてい、この筆跡である。しかし、裁判所は、筆跡を重視しない。というか、ほとんど無視する。筆跡などは、時と場合によってころころ変わるばかりか、偽造する場合などは、人の筆跡に似せて作成するから、筆跡を対比する意味などない。筆跡など意味がないと考える

    AFCP
    AFCP 2014/05/08
    "裁判所は、筆跡鑑定そのものを信用していない" そんなもんなのかな。さて、うちの業界の鑑定は、と。どれくらい信用してもらっているんだろう。
  • 離婚事件における裁判所の基本的価値―「弱者保護」に反すると悲惨な結果になる

    離婚事件の特徴は、互いが相手の人格を非難しあうことだ。それぞれが、自分の価値観で相手を非難しあうので、際限がない。特に金銭感覚と教育観、これはもう人によって千差万別で、宵越しの金をもたない人もいるし、トイレの水を流すのを節約する人もいる。名門私立小学校の「お受験」に精を出す人もいれば、北海道の原野に家族で引っ越そうという人もいる。 これらの紛争は、どこに価値観をおくかで、正と悪がいくらでも入れ替わる。 そのため、裁判所は、こういう価値観の対立にはつきあわず、できるだけ客観的に離婚裁判を進行させようとしている。 それでも、裁判所が、離婚事件を処理するにあたり、厳守するルールがある。それが、「弱者保護」だ。 例えば、離婚原因があるか否かの判断にあたっては、この価値観に基づいて考えると、比較的判断しやすい。よく性格の不一致とかセックスレスが離婚原因になるか否かが論じられるが、裁判所の基的価値観

    AFCP
    AFCP 2013/11/02
    "夫が経済的弱者の場合は、どうだろう?この時は、残念ながら、原則として弱者保護の原則は機能しない" "裁判所の考えは、世間の常識に合致している"
  • 面会交流を強制するのはプラスかマイナスか

    家事事件で、この数年で激変したのは、面会交流を巡るトラブルである。 親権・監護権は、とられてしまったが、面会交流だけは、できるだけ多く実現したい。これが面会交流を求める非親権親の考えである。逆に、親権者は、この面会交流をできるだけ制限しようとする。 ここから、離婚に継ぐ、第二ラウンドとでもいうべき紛争が勃発する。 日が1994年に批准した「児童の権利に関する条約」は、9条3項で「締約国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が、定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」と規定している。 ここから、面会交流は、「子供の」権利として認められている。現在、面会交流の権利性を論ずるとき、それは無意識のうちに「親の権利」という認識で論じられているが、少なくとも、世界的には、「子供の権利」という認識が強い。 我が国家裁実務で

    AFCP
    AFCP 2013/09/06
    ときどき意見を求められたりもするんだけど、たいていとても悩むことになる…。
  • 配偶者が人格障害であることを裁判所はどうやって認定するのか?

    「人格障害」という用語は、「モラハラ」と並んで、離婚事件にしばしば登場する言葉である。多くは、「配偶者の言動が理解できない→異常だ→人格障害だ→婚姻関係がうまくいかないのは配偶者の人格障害が原因である。」まあ、だいたい、こういう論法である。 ただ、自分の経験から言わせると、当事者が相手を人格障害だとする多くの場合が、たいていは性格の不一致である。当事者からすると、相手は異常に見えるのだ。実際は、双方の考え方が違いすぎて、相手の言動が理解できず、人格異常だと思い込んでいるにすぎない。 しかし、離婚事件では、少なくない数で人格障害の相談者や相手方に遭遇することがあることも否定できない。 法律相談で、離婚や親子問題の相談を受け、その質問に回答する。まあ、普通の相談者なら、望んでいた回答なら喜ぶし、そうでないなら、がっかりする。 ただ、相談者の中には、「がっかり」することなく、回答した弁護士に「怒

    AFCP
    AFCP 2013/05/27
    "離婚や親子事件で問題になる人格障害の概念は、医学的な人格障害とは、かなり異なると思ったほうがいい" そういうものなのかなあ。
  • 親権者が死亡した場合の子供の親権  別の観点からの遺言の勧め

    現在、家庭裁判所で一番ヒートアップするのが親権をめぐる争いである。日では相も変わらず、単独親権制であり、他方で面会交流もスムーズにいかない例も少なくないことから、代理人としても、依頼者の心情を思うと、非常につらい面がある。 ところで、仮に裁判を勝ち抜いて親権を獲得したら、次の心配は、自分が死んだら子供はどうなるのか、もっと俗っぽく言えば、「アイツに親権が渡ってしまうのか、そうだとすれば死んでも死にきれない」ということだろう。 この相談は意外と多く、依頼を受けた代理人の立場からは、その心情は充分にわかるが、逆の立場からしたら、「子供はあんたの所有物じゃないよ」と反論したくなる。この問題は、「どちらも正解であると同時に、どちらも正解ではない」としか言いようがなく、むずかしい問題だ。 親権者の候補者は2人しかいないんだから、1人が死亡すれば、もう1人になるのが当然だろう、と思われがちであるし、

  • 面会交流拒否の原因―「子供が会いたくないと言っている」は、本当か?

    現在、離婚で一番揉める問題の一つが面会交流だろう。10年前は予想も出来なかったことだ。 非監護親が子供に会いたいというのに対し、監護親が子供を会わせない。調停で約束していても会わせない、審判で面会交流を命ぜられても会わせない、こういう例は非常に多い。 そのとき、たいていの監護親は、「子供が会いたがっていない」という子供の意思を面会交流拒否の理由としてあげる。「子供は会いたがっているけど、私は会わせたくないのよ」と堂々と言い放った例は、ほとんどない。 しかし、非監護親からすると、監護親の、この発言はにわかに信じられない。「自分が同居していたころは、子供とはうまくいっていた、子供が会いたがらないはずがない。監護親は、嘘をついている」と、ほとんどの非監護親は考える。「監護親がそういうんだからそうなんだろう」などと素直に納得する非監護親は、希有である。 かくて「監護親は嘘つきだ」vs「非監護親は、

  • 離婚とアスペルガー障害

    前々回、離婚事件では、人格障害という単語がしばしば登場すると述べましたが、アスペルガー障害という単語も、それに劣らずよく使用されます。 ただし、人格障害が、もっぱら離婚事件離婚原因として問題になるのに対し、アスペルガー障害は、離婚原因もさることながら、親子関係でむしろ問題になるケースが多いですね。 子供がアスペルガー障害を抱え、が苦労する。その育児方法に反発し、夫が親権を主張するとともに、離婚請求をするというパターンで、これが結構あります。 配偶者がアスペルガー障害の場合もありますが、ケースとしては少数です。アスペルガー障害の場合は、社会的適応を欠く方が多いので、そういう方と結婚される人は少数だからでしょう。 さて、アスペルガー障害ですが、これは発達障害の一つといわれています。普通、発達障害の方は、 「言語発達の障害」 「対人関係の障害」 「異常なこだわり」 の三つを特徴的に有して

    AFCP
    AFCP 2012/08/06
    "子供がアスペルガー障害をかかえ、妻が苦労する。その妻の育児方法に反発し、夫が親権を主張するとともに、離婚請求をするというパターンで、これが結構あります。" 確かに身近でも見聞きするなあ。
  • 4月1日施行の改正民法で明文化された面会交流は権利化しつつある

    改正民法が4月1日から、施行されました。 改正後 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。 (改正前) 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。 相談者・依頼者の方々で、子どもの面会交流がままならない方、親権・監護権を獲得できなかった方々の多くは、改正民法の施行に多くの期待をしておられるようで、相談や打ち合わせで、その点を痛感しました。 ただ、実務的には、今回の改正と施行は、ほとんど注目されておりません。というのは、今回の改正は、現在の家庭裁判所で行われている実務を明文化しただけであり、法律が、ようやく実務に追いついたというのが現実です

    AFCP
    AFCP 2012/05/29
    "個人的には、次の2点で、この2,3年の間に、裁判所の考えは、相当変わり、面会交流の権利化は、その芽が生まれつつあると感じています。"
  • 「子の引き渡し」の強制執行

    「子どもを他方配偶者に引き渡しなさい」という「子の引き渡し命令」が出たにも関わらず、引き渡さないときは、強制執行で子どもを引き取ります。 子どもが小さいときは、動産執行の方法で執行官が現場に赴いて強制的に子どもを引き取ります。ただし、子どもも、ある年齢になると「自分」というものができるので、「動産」として扱うことはできない。この場合は、人身保護によるしかない。 じゃあ、「その年齢は、いつからなんだ」、となると、明確な一線がなく、現場の判断に委ねるほかはない。幼児なんかは、明らかに「動産執行」でよいが、小学校高学年になると、人身保護でいくしかないでしょう。 読売新聞によると http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120108-OYT1T00784.htm この動産執行は、2010年で全国で120件行われていたそうです。 個人的には、「こんなに少ない

    AFCP
    AFCP 2012/01/21
    "子の引き渡し請求権というのは、相手方に、「あんたの責任で私に子どもを渡しなさい」という権利じゃないんだ。それは、私が子どもを引き取ろうとする際、「妨害してはいけませんよ」という権利なんだ。"
  • 親権と監護権の分離が行われる場合

    かつて、離婚事件では、親権と監護権の分離が、和解の一環として広く行われていた。子供の姓にこだわる夫、姓には興味が無く子供を育てたい母親、早く事件を終了させたい裁判所、この三者の思惑が一致するのが親権監護権分離だった。 しかし、現在の家庭裁判所では、この親権監護権の分離は、基的に否定されている。親権と監護権を分離することは、新たな紛争の原因を作ることであり、早期の和解を成立させるために、安易に親権監護権を分離させるべきではない、というのが、現在の家裁の考えだ。実際、親権と監護権を分離させて離婚協議が成立した後に、両親の間で子供の面会や教育などをめぐって意見が対立したとき、親権者が親権を利用して子供の監護を妨害する、あるいは、その逆のケースが、跡を絶たない。 しかし、父親が育児に参加するのが普通となる一方で、離婚した場合の共同親権が認められていない我が国では、この親権監護権分離が再び注目を集

  • 発達障害児を抱えた母親の苦悩

    離婚事件で、子供が障害児というケースが、それなりにある。この障害が、外形から判断できるような身体的障害の場合、夫婦というのは、結構、団結して助け合い、離婚騒動に発展することは少ない。 ところが、子供が発達障害児等、目に見えない障害の場合、しばしば離婚騒動に発展する。現在、抱えている案件でも、10件以上、これに該当する案件がある。 特徴としては、かならず夫からの離婚請求であること、夫は、子供が障害児だから離婚したがっているという自覚がないこと、の二点である。 発達障害そのものが、非常に曖昧で、ある原因がわかっていてそれに対する症状が出ている、というものではない。子供の成長過程で生ずるいくつかの症状から、逆に○○症という名前をつけているだけだ。 しかも、この症状が、子供の発達レベルや周囲の環境でどんどん変化していく。しかも、診断基準が、かなり主観的だ。だから、医師に診断してもらっても、医師によ

    AFCP
    AFCP 2011/07/10
    もうひとつ『離婚弁護士の日々雑感』 http://bit.ly/qlvIFK から。"発達障害児を抱えた母親の苦悩"
  • 広汎性発達障害と面会交流

    近年の家事事件の特徴の一つは、面会交流に関するトラブルの激増だが、この面会交流で実務上問題が生じ、関係者が困惑するのが、当事者または子供に広汎性発達障害が見られるケースがままあることである。 広汎性発達障害の典型例は、自閉症だ。子供が自閉症になるかならないかは、親の育て方は関係ない。自閉症は、脳の機能的障害から生ずるからである。 最近では、同じ広汎性発達障害の中に、アスペルガー症候群とか、特定不能の広汎性発達障害と言われるものがあることが知られるようになった。 そして、この広汎性発達障害は、実は、天才的な科学者や実業家に見られることもあり、決して特殊な病気ではないこと、しかし、それなりの配慮が必要なことも広く認識されるようになった。 子供が広汎性発達障害の場合、その子供は往々にして「変化に弱い」という特徴が挙げられる。 このタイプは、同じ日常生活を繰り返しているときは、非常に明るく活発だが

    AFCP
    AFCP 2011/07/10
    おなじく『離婚弁護士の日々雑感』 http://bit.ly/qlvIFK から。ASD関連のエントリ。"子供の自閉症と離婚" http://bit.ly/nOEfLB "広汎性発達障害と面会交流"