米大使館のエルサレム移転に抗議するデモはイスラエル軍に鎮圧され、60人を超える死者が出たが、アラブ諸国は駐イスラエル大使を召還するような動きも見せなかった(5月11日、ガザ) Mohammed Salem-REUTERS <米大使館のエルサレム移転で勃発したパレスチナ危機。サウジアラビアもエジプトも身内の苦難に声を上げようとしないが、これは過去40年、何度も繰り返されてきたパターンだ。次の危機が迫っている> 米国のエルサレム移転に抗議するガザでのデモにイスラエル軍が銃撃し、60人を超える死者が出た。デモは5月16日には鎮静化し、いまのところ新たなインティファーダ(民衆蜂起)につながる様相は見えない。しかし、パレスチナの混乱が収まればそれで問題が終わるわけではない。今後の懸念は、エルサレム問題が次の中東危機の前触れとなることである。 この問題で国際社会の懸念は、2000年9月に始まった第2次