落語と「俳優の演技」は、まったくの別物 NHKでドラマ『昭和元禄落語心中』が始まった。 タイトルからして妖艶で、なかなか切ないドラマである。 落語には、もともと、どこか切なさがある。その芯の部分でつながっていて、落語好きが見ても心に迫ってくるドラマに仕上がっていた。 岡田将生がよかった。 彼は落語の名人、有楽亭八雲を演じている。 この八雲役は、なかなかむずかしい。 ドラマはやがて、八雲の若い時代をたっぷりと描くので、だから若い岡田将生に割り当てられているが、第一話での八雲は老齢である。 俳優が落語家を演じて、そのまま落語を話すと、ときどき聞きづらくなることがある。 それはおそらく、俳優が芝居で話すセリフと、落語のなかで語るセリフが、根底で違っているからだ。 落語家は登場人物になりきるわけではない。 複数の人物を一人の演者が演じ分けているので、完全にはなりきらない。なりきってはいけない。 一
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