105 2015 年 10 月 29 日『朝日新聞』朝刊にセンセーショナルな記事が掲載された。 「売れぬ本『貸し出しが一因』 」と題された記事である。 「公立図書館の貸し出しに より本が売れなくなっているとして,大手出版社や作家らが,発売から一定期間, 新刊本の貸し出しをやめるよう求めている動きがある (1) 」との書き出しから始まり, 全国図書館大会「出版と図書館」分科会における新潮社の佐藤隆信社長の発言, および,公共図書館の個人貸出冊数 (億冊) と書籍の売上額の推移 (兆円) の統計 グラフ (2) を根拠に「売れるべき本が売れない要因の一つは図書館の貸し出しにあ る (3) 」と報じられた。一方,図書館側である日本図書館協会の山本宏義副理事長の 発言として, 「図書館の影響で出版社の売り上げがどのくらい減るのかという実 証的なデータがあるわけではない」と反論する発言も合わせて紹介