4日に亡くなった直木賞作家の原尞さんは、私立探偵・沢崎シリーズでハードボイルドファンを魅了してきた。地元の鳥栖市に届いた訃報に、原さんの知人らは別れを惜しんだ。同市立図書館には10日、追悼コーナーが設けられた。 「好きなことばっかやって生きたやつだよ」。原さんと小中学時代に同級生だった「オーディオ・ノグチ」(鳥栖市本町)の店主野口弘雄さん(75)はそう語る。幼少期は原さんの自宅の敷地を共に駆け回り、学校の壁新聞も一緒に手がけた。「あの頃から文章を書くのが好きだったよ。絵も描いていた」と笑う。 野口さんが思い出すのは、たまにふらっと店を訪れては世間話をして帰る原さんの姿。「何でも話せる気さくな人間で、お互い気を使わずに過ごせる幼なじみ。最近見ないと思ったら…」と寂しさをにじませた。 鳥栖市で印刷会社を経営する松雪信昭さん(80)は、原さんの遠い親戚に当たる。原さんの1988年のデビュー作「そ