第43回 日本出版学会賞審査報告 第43回日本出版学会賞の審査は、「出版の学術調査・研究の領域」における著書を対象に、「日本出版学会賞要綱」および「日本出版学会賞審査細則」に基づいて行われた。今回は2021年1月1日から同年12月31日までに刊行・発表された著作を対象に審査を行い、審査委員会は2022年2月11日、3月14日の2回開催された。審査は、出版学会会員からの自薦他薦の候補作と古山悟由会員が作成した出版関係の著作および論文のリストに基づいて行われ、その結果、日本出版学会賞奨励賞2点、同特別賞2点を決定した。 【奨励賞】 的場かおり 著 『プレスの自由と検閲・政治・ジェンダー ――近代ドイツ・ザクセンにおける出版法制の展開』 (大阪大学出版会) [審査報告] 出版法制史というだけでなく、報道の自由か忖度か、言論の自由か濫用か、という昔から続く課題について、歴史的な経緯を紐解いた法学者
電子出版の動向と出版者の権利・新しい出版契約 (2月9日出版著作権研究部会報告) 樋口 清一 (社団法人 日本書籍出版協会・事務局長) 1.2010年の出版動向 2010年の出版物推定販売額は、1兆8748億円と前年比3.1%のマイナスとなったが、書籍新刊点数は、74,714点で4.9%の減少となった。2000年からの10年間で書籍の販売金額は15.4%、雑誌は金額で26.1%の大幅減少になっている。一方、欧米の書籍出版界は、紙の出版物が伸び率は少ないものの依然として右肩上がりであるという現状がある。 電子出版については、5年後の予測で、日本における電子書籍市場が2000~3000億円という予測もあり、これは米国の5年後予測とほぼ拮抗する。 2.電子書籍をめぐる動き a. 三省デジタル懇談会とその後 デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会報告を受けて、次のよ
国立国会図書館におけ電子納本制度と出版業界 湯浅俊彦 (夙川学院短期大学准教授)(2010年11月 秋季研究発表会) 1.はじめに 国立国会図書館・納本制度審議会による2010年6月7日付け答申「オンライン資料の収集に関する制度のあり方について」はオンライン出版物を対象とする新たな電子納本制度を策定し,その収集・保存を国立国会図書館に求めるものである. 1948年の国立国会図書館法に基づいて日本国内で発行される出版物は納本制度により国立国会図書館によって網羅的に収集され,利用可能とした情報のうち,同法第24条第1項に掲げられた図書,逐次刊行物等に相当する情報を収集するための制度の在り方について」の諮問がなされた. 諮問理由として国立国会図書館・収書書誌部長から次のような説明がなされた1). 「今日,インターネット等を通じて出版する事態が急速に進展しております.これらの情報を包括的に収
図書館資料としてのマンガの現状と課題 村木美紀 (同志社女子大学学芸学部情報メディア学科専任講師)(2010年11月 秋季研究発表会) マンガは読書材としてだけでなく,映画やドラマのコンテンツとしても人気が高く,メディアミックス化が盛んな資料である.日本の出版物全体におけるマンガの比重も,売上の占有率が 21.6%,部数の占有率が35.4%(『2010出版指標年報』より)と非常に高いことが確認できる. しかし,日本の図書館界においてはマンガを蔵書とすることが困難な状況にある.それはなぜなのか,日本の図書館における取り扱いの現状と課題を明らかにし,図書館の蔵書にするにはどうすればよいかを提言することを目的に研究を行った. 図書館法の第2条には,図書館の機能と役割が明記されている.それに照らして,図書館の機能である収集・整理・保存・提供の4点に注目し,選書,購入,配架・コーナー作り,目録デー
関西部会2010年度第2回(通算第65回)のご案内:終了しました 「最近の図書館における電子化の動向 ―大学図書館の再定義とその編集機能」 近年図書館は変革期を迎えている。図書館はいわゆる「情報革命」と呼ばれる流れの中で、そのあり方を再定義しなければならない時期に差し掛かっている。 人類史上、かつての図書館は紛れもなく、並ぶもののない絶対的な「情報の集積地」であった。だがWebの出現により、図書館のアイデンティティは大きく揺らいでいる。今の図書館は「情報の集積地」の一つではあったとしても、絶対的な存在ではありえない。 存在意義が問われている図書館は、長期的な視野に立って、自らの行く末を見据え、現在なすべきことを考えていかねばならない。 その道筋は、Webが立脚するデジタル概念から、図書館の立脚するアナログ世界を観察する時、自然と明らかになる。特に大学図書館はこのプロセスを理解した上で、自ら
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