電子書籍の普及で、読書や図書館はどう変わるのか−。活字文化の推進を目指す「国民読書年」を記念し、本と読書の変遷を追う講演会が今月、東京・永田町の国立国会図書館で開かれた。講師を務めたのは名著『書物の秩序』で知られるフランスの歴史家、ロジェ・シャルチエさん(64)。蔵書の電子化を進める同図書館の長尾真館長らを交えた鼎談(ていだん)でも、話題は電子書籍に集まった。(三品貴志) フランス最高峰の教育機関「コレージュ・ド・フランス」教授を務めるシャルチエさんは、印刷、出版、読書の歴史を多角的に論じた多数の著書を持つ。7日、約300人を集めて行われた講演では、出版物が知的財産権や作家、作品のあり方を変えてきた過程を振り返り、「書物の電子化は、私たちを『書物とは何か』という基本的な問いに引き戻す」と言及した。 「媒体が変われば、本の読み方も変わる」というのがシャルチエさんの持論だ。「とばし読みや、参照