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ブックマーク / magazine-k.jp (55)

  • 北欧から見たヨーロッパ電子書籍事情

    欧州北部の僻地からネット上の電子書籍や電子出版に関する記事を追っていて、アメリカや日とは違う温度差をいつも感じていた。 ヨーロッパの電子書籍販売に関するブログ FUTUREeBOOK で、欧州の電子書籍マーケットの動きがアメリカにくらべて鈍い理由として、①ヨーロッパの多様な言語の電子書籍を一箇所で買えるような共通プラットホームがないこと、②電子書籍にかかる付加価値税 (VAT) が紙のにかかる付加価値税より高いこと、③電子書籍を出版するために翻訳料などのコストがかかり利益率が薄いので出版社が手を出さないこと、などが挙げられていた。その結果、多くの読者が安価な英語電子書籍海外サイトから直接買い寄せるようになっているということだった。 スウェーデンの電子書籍事情もだいたいそのようなものだと思ったが、まずは電子書籍の制作流通会社であるELib社に連絡をとってスウェーデンや他の北欧諸国、E

    MIchimura
    MIchimura 2010/08/22
    図書館も充実してるし需要ないのかもなあ
  • 我はいかにして電子書籍の抵抗勢力となりしか

    「活字が消えた日」 すこし時代を遡る。私の原点は「活字が消えた日」である。私の経営する会社は4代前の先祖が幕末に京都で木版印刷の会社を創業し、明治のはじめに当時のハイテクであった活版印刷に進出して以後ほぼ百年間、「活版の中西」として全国的にも知られた存在だった。その中西が活版をやめ、電子組版に移行するというのは当時の大事件で、活版最後の日にはテレビが取材にきたりもした。 この活版から電子組版への移行経緯を、「マガジン航」でもおなじみの津野海太郎氏のすすめでとして出版した(『活字が消えた日』晶文社刊 1994)。当時、好評をもって迎えられ、版を重ねた。今でも活版から電子組版への移行時期について詳細に記した基文献として読み継がれているようだ。 その出版のころ津野氏と語り合ったものだ。「いずれは『が消えた日』を書かなければならないだろう」と。そのころにはまだインターネットこそ、一般的ではな

    我はいかにして電子書籍の抵抗勢力となりしか
  • 熱い図書館への誘い

    「マガジン航」の読者の方々であればお気づきかもしれませんが、いま、図書館の世界が熱い状況になっています。たとえば、つい先日の7月24日(土)は、図書館を巡る最近の熱気を感じさせる1日でした。この日大阪で、「〈図書館〉をキーワードに、図書館で働く人も、そうじゃない人も、あつまって飲みませんか」という呼びかけのもとに開かれた「図書館のむ会@大阪」に60名もが集まりました。それだけではありません。これに呼応するように行われた「横浜市内図書館的施設ツアー&図書館をネタに飲む会@横浜」には40名が、「図書館のむ会@仙台」でも10名ほどが、さらに当日外出できない方々を中心に「図書館のむ会@ウェブ」という一人家飲みの会まで開かれたのです。 当日、「図書館」をキーワードに日全国でオンライン、オフラインに集ったのは100名を優に超えています。ただの飲み会とはいえ、そして当日が全国的にビールの美味しい天気だ

  • Eブック版権をめぐるエージェントと出版社のバトル

    アメリカ人が出版関連の利権で訴訟を起こしたり、ボイコットしたりしているのは死闘のバトルをやっているんじゃなくて、お互いに納得のいく着地点を探してプロレスごっこしてるだけ、なーんてことを以前に書いたので、なんだかオオカミ少年になりつつある気もしないではないが、またしても電子書籍をめぐってバトルが始まった。 今度はエージェントが大手出版社が抱える大物作家のEブック専門出版社を作り、アマゾンと専属契約を交わしてしまった、というニュース。報復措置として出版社側は、そのエージェントが担当する新人や新しい企画のボイコットをはじめた、というものだ。 電子化されるのは綺羅星のような名作ばかり さて、このバトルで赤コーナーに立つのは、ICMやウィリアム・モリスと並ぶ大御所のアンドリュー・ワイリー・エージェンシー。クライアントの作家を思いつくまま挙げてみると、フィリップ・ロス、ソール・ベロウ、ノーマン・メイラ

  • 電子書籍は波紋を生む「一石」となる

    2010年7月8日~11日に開催された第17回東京国際ブックフェア。同時開催としてデジタルパブリッシングフェア2010なども開かれた。わたしが前回、東京国際ブックフェアに行ったのは2005年のことだから、5年ぶりの参加となる。その間、電子書籍の動向も大きく変化したように感じた。 5年前と今の電子 電子書籍化の流れは前世紀末から始まり、今世紀に入ってから加速した。当初は各社がΣBookのような電子ブックリーダーを独自に開発したり、独自フォーマットを開発して「蔵衛門」などの専用ソフトウェアを売る、という方向性だった。しかし、特に独自の機械を開発したところは、残念ながらいずれも頓挫していった。一方、KeyringPDFを採用したパピレスは、ある程度汎用的なフォーマットを採用することで生き延びていった。 2005年のブックフェアではボイジャー社の無料公開セミナーを聴講した。ここで画期的だと思った

  • 文字と印刷にかたよったブックフェア極私的報告

    7月8日~11日まで東京ビッグサイトで開催された第17回東京国際ブックフェアは、過去最大の1000社が出展、来場者数も87,449人と過去最多だったという。実のところ毎年足しげく通っているわけではないブックフェアに、今年は足を運ぼうと思ったわけは、電子書籍関連の動きにともなってユーザーインターフェースとしてのフォントへの関心が高まっていることを、肌で感じていたからだ。 先日『文字をつくる 9人の書体デザイナー』(誠文堂新光社)というを上梓した。タイトルどおり9人の書体デザイナーに、文字への思いや書体誕生の舞台裏について聞いたインタビュー集で、30歳~80歳代の各年代の人々に話を聞いたことで、金属活字から写植、デジタルフォントまでの流れを追うことができた。このが、思った以上に反響をいただいている。それはどうやら、ちょうどiPadの登場で電子書籍への注目が高まった時期に出版が重なったことが

  • キンドルで読書体験の共有が可能に

    以前、藤井あやさんが「キンドル萌漫」で紹介してくれた、キンドル・ファームウェアのバージョン2.5へのアップデートがついに開始されたようです。うちのキンドルにも、昨日の午後に自動的にインストールされており、さっそくいろいろ試してみました。 キンドルストアから購入した電子書籍や、自分のパソコンからインストールしたPDFファイルがフォルダで管理できるようになったことや、PDF を拡大表示できるようになったことも大きいですが、今回のアップデートの最大のポイントは、読書中ののハイライト箇所をネット上で共有したり、ツイッターで呟いたりできる、「読書体験の共有」機能でしょう。 現状では英語でしか書き込めませんが、この機能を使えば、を読み進めながら、気に入ったフレーズに対するコメントをツイッター上でリアルタイムにつぶやいたり、同じを読み進めている人の感想を知ることができるなど、ゆるやかな「読書会」が

    MIchimura
    MIchimura 2010/06/20
    こういうのを待ってた…。日本のもかしかし推し進めてほしいな
  • 1 本と読書の世界が変わりはじめた

    いま、というのは二十一世紀の最初の十年がたった現在という意味ですが、そのいま、私たちにしたしい読書の世界が大きく変わろうとしている。 そのことを前提としてみとめた上で、この変化を「の電子化やインターネット化に乗りおくれるな、急げ急げ」というようなあわただしい観点からではなく、五千年をこえる歴史をもつ書物史の大きな流れのなかで、できるだけ気長に考えてみたい。 いいかえれば、いまはせいぜい五年か十年の目盛りで考えていることを、百年、さらには千年の目盛りによって考えてみること。そうすれば、いまの変化が一体どれほどの深さや広がりをもつものなのかがわかってくる。いまはまだ完全にはわからなくとも、あるていどの見当はつくだろう。それがここで私がやりたいと思っていることなんです。 でも、これだけでは抽象的すぎて、ちょっとわかりにくいかもしれません。もうすこし具体的にのべておきましょう。 まず「百年の

    1 本と読書の世界が変わりはじめた
  • iPadとキンドルを読書端末として比べてみたら

    来くらべようがないものを英語apples and orangesと表現するが、今回は実際にiPadとキンドルを使ってを読んでみて、文字通りAppleiPadに対していかにキンドルがオレンジなのかを思い知らされた結果となった。 ハードやソフトの比較は既にITオタクな人たちがたくさん書いているので、以下は純粋にiPadを電子端末として見た場合、キンドルとどう違うのかを検証してみる。 まずはiPadを入手。Macファンが店の前に列をなして並ぶ様子がニュースが流れていたようだが、今回は予約注文を受け付けていたので、並ぶ必要は全くなかった。箱から取り出すと、そのままスイッチを入れてすぐに使えるところはマックの他のガジェットと同じ。 ただし、第一印象はずっしり、重い! キンドルの300グラムに対して倍以上の700グラム近くあるので、それもそのはず。これでは気軽に片手で持ってを読むのはムリ。

    MIchimura
    MIchimura 2010/05/19
    「iPadは本「も」読めるけれど、決してそのためのデバイスではない。」「巷でよく言われている「iPad対キンドル」という構図はまったく的はずれ」 そう、そこすごく違和感だったので氷解。参考になりました。
  • あなたの好きな図書館はどこですか

    この「マガジン航」の読者の方であれば、「『電子図書館』は出版業界と共存できるか」(IT Media News 4月23日掲載)という熱い見出しの記事をすでに読んだかもしれません。国立国会図書館が進める大規模デジタル化構想に対して、日の出版業界からの否定的な反応が見られるようになってきました。 議論が巻き起こること自体は、もちろん歓迎すべきことです。ただ、やはり様々な懸念も抱きます。その様々な懸念の中でも、上で紹介したような記事を読むと、たとえば1990年代に出版業界から巻き起こった「図書館=無料貸屋」という議論を思い出します。 このときに起きた議論については、田村俊作、小川俊彦編『公共図書館の論点整理』(勁草書房、2008年、2520円)に収められている安井一徳著「『無料貸屋』論」によくまとまっていますが、あえてまとめれば、図書館による貸出が出版業界の売上の阻害要因になっているのでは

  • 『本は、ひろがる』をBinBで刊行しました « マガジン航[kɔː]

    昨日1月27日に、ボイジャーの新しい読書システムBinBをつかって、「マガジン航」のこれまでの200以上の記事から7を選んで編んだアンソロジー、『は、ひろがる』を刊行しました。 PCあるいはMac、スマートフォンや各種タブレットのウェブブラウザから、すべてのページを無償でお読みいただけます(下記のURLまたは画像をクリック。対応ブラウザやOSなど、詳細はプレスリリースを参照ください)。 http://binb-store.com/binbReader.html?cid=18814 『は、ひろがる』は、「マガジン航」編集部が刊行する電子書籍シリーズ、「ブックス航」の第一弾です。刊行の意図については、プレスリリースにコメントを寄せましたので、その一部をここにも転載します。 「マガジン航」は「と出版の未来」について、個人の立場からのさまざまな声をあつめることを目的として、2009年秋に

  • 進化する図書館システム

    の未来を論じる上で避けては通れないものの一つが、図書館の役割だろう。さて、その図書館のうち、とくに図書館システムと呼ばれる、図書館が保有する資料を総合的に管理するシステムについて、昨今の日国内の動向を紹介したい。 図書館システムの惨憺たる現状 一般に図書館システムと言った場合、利用者の立場からすれば、図書館内にある蔵書検索端末を思い浮かべるだろう。これは図書館業界においてはOPAC(Online Public Access Catalogue)と呼ばれており、最近ではOPACをウェブ上で公開する図書館も増えている。ちなみに慶應義塾大学の上田修一教授の調査によれば、2009年3月31日時点で749ある大学図書館のうち、81.6%にあたる611館がウェブでOPACを公開している(ウェブOPAC)。 また、 日図書館協会の調べでは、2009年12月時点で全国の公共図書館(都道府県立、市区町

  • 全国図書館大会U40プレミアセッション

    2009年10月29日。平日の木曜の夜という決して条件の良い時間ではない中、日全国12都市で図書館関係者が同時多発的に集う大イベントがあったことをご存知だろうか。イベントの名称は「全国図書館大会U40プレミアセッション」。集ったのは実に全国で330名。 一口に図書館関係者といっても図書館で働くライブラリアンだけが集ったのではない。書店や取次、出版社といった図書館が資料として収める書籍や雑誌の作り手もいれば、図書館システムや図書館用備品を収める図書館関連企業の社員もいる。図書館情報学を学ぶ学生・院生もいれば、素晴らしいことに図書館の利用者も参加者に含まれていた。開催都市は北から山形、仙台、新潟、水戸、東京、名古屋、三重、京都、大阪、岡山、福岡、沖縄の全国12都市。集ったのは、主に40歳以下の図書館関係者である。 ちなみに会場別にみると、参加者数は、山形(12名)、仙台(17名)、新潟(8名

  • 学術コミュニケーションと本の未来

    昨日、サイエンスアゴラ2009の催しの一つとして日科学未来館みらいCANホールで行われた、「“ツタエルコト”はどこにある!?-科学コミュニケーションと学術コミュニケーション」というシンポジウムを聴いてきました。 あいにく冒頭の野家啓一(東北大学理事・副学長・附属図書館長)氏の基調講演には間に合わなかったのですが、古代アレクサンドリアから説き起こした「学術情報と市民社会」と題された野家氏の講演は、活字印刷がもたらした「グーテンベルク銀河系」の終焉を見据えたうえで、インターネット時代における「公共圏」のあり方を問う、きわめて示唆に富むものだったようです。 基調講演には、このところ各種シンポジウムや対談イベントに精力的に出演している国立国会図書館長の長尾真氏も登壇。学術・科学情報の保存や流通過程における専門家と市民、それぞれの役割を説いたうえで、SNSのような方法をもちいて科学・学術研究に市民

  • 出版流通の見えないダイナミズム

    ほしいが手に入らない、という声をあまり聞かなくなったような気がする。そうなのだとすれば、たぶんインターネット書店が普及したおかげで、古書も含めてたちどころに「ほしいのありか」がわかり、二日も待てば手に入るようになったから、ということなのだろう。実際、インターネットはを買うのに便利だ。アマゾンがあれば書店はいらないという人すらいる。しかしこのように展開すると、話はあっという間にきな臭い方向にすすむ。いわく、「インターネット書店は町の書店を滅ぼすのか」。 だがそういうところに行く前に、もう少し注意深く考えてみたほうがいい。「ほしい」とは何か?「手に入らない」といっていたのは誰か?「ほしい」についてのクレームがアマゾンの出現で消えたのならば、「ほしいが手に入らない」と言っていたのは、アマゾン・ドットコムでを買えるような人だった、ということになる。クレジットカードを持っていて、インタ

    出版流通の見えないダイナミズム