所得税の減税がどうして必要なのか。岸田文雄首相から納得のいく説明はなかった。 所信表明演説に対する各党の代表質問が行われた。物価高に対応した政府の経済対策に関連し、首相が唐突に所得減税を打ち出したことが焦点となった。 まず問われたのは、時宜にかなった政策かどうかだ。 日本経済は新型コロナウイルス禍から回復過程にある。立憲民主党の泉健太代表ら野党だけでなく与党からも、減税による過度な景気刺激は逆に物価高を助長するのではないかとの懸念が相次いだ。首相は「インフレが加速することがないよう適切に対応する」と答えたが、説得力に乏しかった。 国の借金が膨らみ続ける中、野党は「財政に対する信頼を揺るがす」とただした。首相は「デフレから脱却するための一時的な措置」と述べただけだった。 日本維新の会の馬場伸幸代表は「最低限の物価高対策と生活困窮者への手当てが合理的だ。国の財布は政権維持のための打ち出の小づち