「不良な子孫の出生」を防ぐためにつくられた法律で卵管や精管を閉じる手術を強いられた人たちに対し、国は責任を逃れられるのか。旧優生保護法による強制不妊の問題で、最高裁が裁判官15人全員で判断を示すことを決めた。焦点になるのは「時の壁」。手術から20年以上の歳月を経た被害者は、「除斥期間」によって国に賠償を求める権利を失うかどうか――がポイントになる。 戦争直後にできた旧優生保護法は、社会的弱者に不妊手術を強いることを認めていた。主に身体障害者や知的障害者への手術だったが、手足の奇形、視覚や聴覚障害者、そううつ病患者らも含まれた。 「要するに『あなたたちに生きている価値はない。子孫を残す権利なんてないよ』というメッセージですよね。そんな残酷な法律を国が作り、手術を推し進めていたんです」。被害弁護団の新里宏二共同代表は怒気を込める。 国会の調査によると、手術は全国で2万4993件(本人同意なし1
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