2023年のノーベル生理学・医学賞に決まった米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授(左)とドリュー・ワイスマン教授=東京都千代田区で2022年4月、内藤絵美撮影 世界が新型コロナウイルス感染症に翻弄(ほんろう)されて間もなく4年。2023年のノーベル生理学・医学賞は、新型コロナが確認されてから1年ほどという異例のスピードでメッセンジャー(m)RNAワクチンを実用化した技術に贈られる。「(賞は)毎年、前年に人類のために最大の貢献をした人たちへ」というアルフレッド・ノーベルの遺言にふさわしい業績だ。【渡辺諒】 これまでのワクチンは、実際のウイルスを弱毒化した「生ワクチン」や、完全に感染力を失わせたウイルスを使う「不活化ワクチン」というタイプだ。 ゼロから開発しようとすると、動物実験や臨床試験をする。鶏卵などを使ってウイルスを培養する必要もあり、生産体制の確立には時間がかかる。製薬業界など