NHKがインターネット配信の基準で認められていないBS(衛星放送)番組の配信にかかる予算約9億円を計上した問題では、NHKのずさんな意思決定過程が浮き彫りになった。前会長の前田晃伸氏は「将来、BS番組のネット配信が実現した場合の準備のため」と話しており、背景にネット業務を早期に拡大させたい意図が浮かぶ。現在、総務省の有識者会議でNHKのネット業務のあり方が議論されているが、その行方が注目される。 放送法では、NHKの業務についてテレビ放送が「本来業務」で、ネット業務はその「補完」と位置づけている。ネット業務は年200億円の上限がある。テレビを見ないネット利用者が年々増加している事情があり、NHKの稲葉延雄会長は「(ネットも)放送と同様の公共的な役割が必要」と「本業化」を主張している。