物価高に苦しむ国民の暮らしを底上げすることが急務だ。 今年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で2・1%減った。昨年10~12月期以来のマイナス成長に陥り、減少幅は事前の予想よりも大きかった。 GDPの半分以上を占める個人消費が落ち込んだ。物価高が長引く中、家計は節約志向を強め、食料品などの売れ行きが低迷した。 新型コロナウイルスの法的位置付けが引き下げられたことに伴って、訪日観光客が急増し、4~6月期の成長率は4%を超えた。だが効果は一時的にとどまった。 景気回復を持続的なものとするには、個人消費の活性化が欠かせない。賃金を本格的に引き上げることが求められる。 今年の春闘の賃上げ率は、大企業を中心に約30年ぶりの高水準となった。しかし物価の上昇には依然として追いついていない。 大企業は好決算が相次いでいる。物価高に拍車を掛けている円安だが、自動車など輸出産業には追い風となってい