科学の発展には、研究者が腰を据えて取り組める環境が重要だ。 にもかかわらず、逆行するような事態が全国の大学や研究機関で起きている。研究者の雇い止めだ。 改正労働契約法が2013年に施行され、有期雇用者は通算5年を超えると無期雇用への転換を申し込めるようになった。雇用の安定を図るための改正だった。 しかし、5年を超す直前に非正規労働者が雇い止めされ、無期転換を阻まれるケースが相次いだ。 研究活動は長期に及ぶことが多く、例外的に10年を超えれば無期雇用を希望できることになった。ところが、日本を代表する研究機関である理化学研究所は「10年を超える有期雇用を認めない」とするルールを作った。 研究者ら約200人が今年3月末に契約期間を終えた。約半数は「理事長特例」として2年間の雇用継続を認められたが、97人が雇い止めとなった。閉鎖を余儀なくされた研究室もあった。 理研だけの問題ではない。文部科学省が