いじめ防止対策推進法が成立して10年となる。だが、状況は改善していない。理由を分析し、問題点を洗い出さなければならない。 法制化のきっかけは、大津市で2011年、中学2年の男子生徒が同級生からのいじめを苦に自殺した事件だった。 いじめ行為を目撃した生徒らが担任に伝えていたが、学校は十分な調査もせずに、けんかとして扱った。男子生徒の死後、校内のアンケートで「自殺の練習をさせられていた」などの情報が多数寄せられていたのに、市教育委員会は公表しなかった。 学校や教委の事なかれ主義、隠蔽(いんぺい)体質が浮き彫りになった。 この反省を踏まえ、議員立法で成立した法律は、学校ごとに教職員らの対策チームを常設し、早期発見や防止に努めるよう求めた。自殺や不登校などの原因となった疑いがあれば「重大事態」として教委や学校が速やかに調査し、事実を解明するよう定めた。 根強い「事なかれ主義」 法律施行後、いじめの
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