北朝鮮を取り巻く状況がめまぐるしく動いている。平昌五輪を機に南北交流が再開。11年ぶりの南北首脳会談、史上初の米朝首脳会談が実現しようとしている。金正恩朝鮮労働党委員長は国際社会が求める非核化に応じる用意があるのか。圧力一辺倒の日本は蚊帳の外に置かれたままなのか。 新著「金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて」(文藝春秋)が話題の朝鮮半島情勢の第一人者である、東京新聞論説委員の五味洋治氏に聞いた。 ■中国を引き入れた絶妙なタイミング ――金正恩委員長は電撃訪中し、習近平国家主席と会談しました。2011年のトップ就任以来、初外遊です。 絶妙なタイミングでした。伝統的友好国の中国との関係を回復させ、南北、米朝会談に強い立場で臨めるようになった。中国は以前から金正恩委員長を招いていたはずで、この時期になったのは北朝鮮の意向でしょう。米国の大統領補佐官(国家安全保障担当)に爆撃容認論者のボルトン元国連