しばしばブログの主旨から逸脱するが、これは臨床医として一生悩むであろう命題である。 ●余命の推定 呼吸器内科医として余命の質問をされるのは、肺癌の患者さんからがほとんどであり、残りは一部の難治性疾患(特発性肺線維症やリンパ脈管筋腫症)である。 経験上、癌患者さん本人よりも第一親等にあたる家族さんからの質問が多い。しかしながら、医師にとってこの質問に答えるのは非常に難しい。理由はきわめて単純で、「予想ができないから」である。よくテレビドラマで「もってあと2年です」など告知するシーンがあるが、ああいった予想はおそらく癌の病期(ステージ)に基づいた数値と主治医の経験を組み合わせた発言だと思われる。ただ、医師は患者さん本人への配慮から余命を長めに伝えがちとも言われており、現状としては正確な余命はほとんど患者さんに伝えられていない。 診断期・治療期の段階での余命推定は難しく、終末期・死前期になるほど
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