マウスの体内を特殊な溶液で透明にして、がんが転移する様子を細胞レベルで観察することに成功したと、東京大と理化学研究所の研究チームが5日付の米科学誌電子版に発表した。がん細胞の観察には臓器を切り出して分析する必要があったが、解剖しなくても転移の様子を細胞ごとに観察できるため、見落とすリスクが減り、転移の推移も詳細に分かるという。 チームはこれまで、マウスの血液中の赤い色素や脂質を除去し、全身を透明なゼリーのようにする方法を確立していたが、今回はがん細胞を光らせる蛍光たんぱく質を併用した結果、尾の静脈から注射された肺がん細胞が、2週間かけて臓器へ転移する経過を細胞レベルで観察した。
