神宮神田(以下神田)とは、神宮の神饌の飯、餅および酒の原料となる御料米を生産する水田で、伊勢市楠部町にあります(写真1)。また、志摩市磯部町の内宮別宮伊雑宮(いざわのみや)に隣接している水田は御料田と呼ばれています(写真2)。昔は、神饌の原料供給田を御刀代(みとしろ)、その御刀代と神宮の経済を支える米を生産する水田を含めて神田または神戸(かんべ)と称していたようです。ちなみに、東京都千代田区の神田(かんだ)はかつて神宮の神田があったところ、兵庫県神戸(こうべ)市は生田神社の神領があった場所と言われています。 神田は、伝承では倭姫命(やまとひめのみこと)が内宮を遷座したと同時に創設したとされ、2000年の歴史を有することになります。また、志摩市の御料田は、その翌年、倭姫命が、稲穂をくわえた真名鶴を発見して開いたといわれています。 その後、平安時代中期に編纂された法令集「延喜式」では、神田はこ