アナザーノート 3月末の卒業式が近づくにつれ、筑波大学4年だった斎藤真緒さん(23)は気が重くなった。 もともと式典には参加せず、後日、卒業証書だけ受け取るつもりでいた。 しかし、同月の上旬、大学の社会学類で成績が上位の「総代」になったと連絡があった。卒業生を代表し、謝辞を述べなければならなくなった。 学生生活ではいい思い出が浮かばない。指導教員の鈴木彩加准教授から過去の謝辞を「見本」としてもらっていたが、自分なりに正直な気持ちをつづってみた。 「つらいことばかりでした……」。鈴木准教授に見せると「謝辞っぽくないから書き直してください」と返された。 謝辞ができるまで往復3回。「結局、あいさつの最初は鈴木先生が考えてくれた文章で、最後のほうの家族に対する感謝の気持ちだけ、わたしが考えた文だった」 卒業式に出たくない理由には、友だちの少なさもあった。 単位をとるのに必要な最小限の講義しか出てい