原発事故を巡る新聞報道をどう受け止め、どんな思いを抱いているのか。被災地の今後の復興に向け、新聞はどのような役割を果たすべきか。全村避難が続く福島県飯舘村の菅野典雄村長に聞いた。 ◇住民の苦しみ、もっと時間をかけて取材して 原発事故発生から1~2カ月間は、政府から情報が来ず、マスメディアを通じて初めて知るという状態が続きました。情報はプラスもあれば、マイナスもあり、出し方によって、国民を苦しめたり、不安に陥れたりします。それなのに、地元への心配りが足りないと感じることが再三ありました。 たとえば、飯舘村は初期に水道水から放射性ヨウ素が検出されたと報道されました。マスメディアは、そのときは大騒ぎをしました。ところが、東京都の水道水からヨウ素が検出されると、今度は東京の話ばかりになりました。その後、飯舘村の数値が下がっても報道はされません。汚染されているという悪い情報ばかりが繰り返し流されまし