日本の科学技術力が危機的な状況にあることを改めて突きつけるデータである。 全米科学財団が公表した科学技術の論文数(2016年)で、日本は06年の3位から6位に後退した。中国が米国を抜いて首位に立ち、日本はこの10年間にインド、ドイツ、英国に抜かれた。 英科学誌「ネイチャー」も昨年3月、「政府主導で低落傾向を逆転できなければ、日本は世界の科学界でエリートの地位を追われるだろう」と指摘した。 大隅良典さん(16年、医学・生理学賞)をはじめ、近年のノーベル賞受賞者の多くが、研究現場の疲弊を憂慮し、短期的成果主義の弊害を訴えてきた。 内外の指摘を重く受け止め、科学技術立国の足元を立て直さなければ、日本に未来はない。 理化学研究所、東京大、そして京都大のiPS細胞研究所でも論文不正が起きた。産業界でも日産自動車や神戸製鋼所など日本のものづくりを支える企業の不正が、相次いで表面化した。 「日本の研究レ