マルタ・アルゲリッチ(1941年~)。アルゼンチン出身のカリスマ女流ピアニスト。 ピアニストでアルゲリッチに憧れない人はいないでしょう。天才的なひらめきで自由奔放に演奏し、難曲をものともしない強靭なテクニックと、激しいというより闘争的ともいえる推進力。そして、今はだいぶ年齢を重ねたけれども、若い頃からの魅力的な容姿。 現在彼女はもうほとんど独奏はしません。世界中のファンが彼女のソロを聴きたがっていたとしても。 なぜなら、ステージに対する恐怖からいまだにぬけ出せないからです。 室内楽またはオーケストラとの協奏曲なら弾いてくれるのですが、それもいつキャンセルされるか分からない。指揮者は、本番のベルが鳴っても「今日は弾きたくない」と控え室から出てこないアルゲリッチをなだめすかしてステージにあげなくてはならないことさえもあるのです。 ピアニストとして最高の栄光と幸せを手に入れたかに見える彼女ですら