フランスのニコラ・サルコジ大統領は、移動型民族ジプシーを弾圧して世論ウケをねらうというヨーロッパの伝統的政治手法をフル活用しているようだ。8月18日付けのウォールストリート・ジャーナルは次のように伝える。 過去3週間、51カ所の不法キャンプから強制排除された東欧出身のロマを含むジプシーたちは、フランス国籍を持つ者も含めて8月19日から強制送還される予定だ。キャンプから追い出された人々のうち、不法滞在の約700人は、中東欧の母国に帰されるという。 7月にはフランス中部のサンテニャンで、検問で止まらなかった22歳のジプシーが射殺された。怒ったジプシーたちは斧や鉄棒で武装して木を倒し信号を壊し、車に火を放ってパン屋や警察署に押し入った。 サルコジが、ジプシーの不法キャンプ撤去を決めたのは2週間後の7月28日だ。移民が警官を殺そうとして有罪になった場合は、フランス国籍を剥奪することも提案している。