◇「五族」との5年8カ月--五百旗頭真(いおきべ・まこと) 長い間お世話になった本欄での私の受け持ちもいよいよ最終回となった。時を同じくして5年8カ月に及んだ防衛大学校長の任も全うすることになる。そこで今回は、何かのテーマで論ずるのではなく、この間を思いつくまま振り返り、感想を述べることとしたい。 私に防大校長になるよう激しく説き、任命したのは、小泉純一郎首相(当時)だった。こんな注意をしてくれる人がいた。「小泉さんはドライな人で、釣り上げた魚に餌はくれない。覚悟しておくがよい」。確かに干渉がましいことは何一つなく、ご子息の進次郎氏が衆院議員に当選した後はすべてを任せ、長年続けていた防大卒業式への出席もやめられた。しかし、三崎の旅館に私の家族と防大生10名を招き、大マグロ1匹をふるまう思い出をつくってくれたりした。また私の提案した防大改革のうち、防大内部だけでは解決しない難しい問題について