ここ数年、高学歴ゆえに下手をすると一生、低収入や不安定な生活、さらに独身を強いられる女性が増えているという。そこで今回、その実態や背景について、『高学歴女子の貧困』(光文社新書)の共著者で一橋大学非常勤講師の大理奈穂子氏に話を聞いた。 –本書では、多くの人が大学院博士課程を修了しても非常勤講師のまま、なかなか専任教員の職を得ることができず、経済的にも不安定な日々が延々と続く現実が紹介されていますね。 大理奈穂子氏(以下、大理) 多くの学生がそうした現実を知らずに大学院に進学するため、出口の見えないトンネルのような非常勤生活に陥っていくのです。実のところ、どの教授も学生に対しては、「研究者を夢見て進学しても、専任職に就ける確率は極めて低く、経済的にも苦労する」などとという希望のない将来像を示したりはしません。一つには、そんなネガティブな情報を流したら受験者数が減ってしまい、ひいては大学経営上