「あれだけ人を何百万人も殺して日本中を廃虚にした。その連中の責任を問わなくて、いい政治ができるわけない」。終戦の日を前にNHKスペシャルで語ったのは、読売新聞グループトップの渡辺恒雄氏です▼番組で渡辺氏は9条改憲の持論は封印し、学徒出陣の戦中派として軍国主義が嫌いだと強調していました。深く付き合ってきたという“大物政治家”たちの意外な一面も証言。戦争を体験した歴代首相には、日本が起こした戦争への反省があったといいます▼ただ、94歳になる渡辺氏のような戦中派の反省には、えてして盲点も。同世代の哲学者の鶴見俊輔さんはそこを批判していました。彼らの「平和への願望」には「平和であった時代にさえも日本が朝鮮、台湾、中国にたいして続けてきた不当な支配についての自覚と反省が見られない」と▼植民地支配への反省の欠如は戦中派だけでなく、戦後の自民党政治でも続いてきました。いま日韓関係の最大のトゲである徴用工