集団的自衛権行使容認に反対する社民党のポスターが物議を醸している。父親が自衛官の男の子。「あの日から、パパは帰ってこなかった」。家族のつらい思いを表現したというが、自衛隊に対する冒涜(ぼうとく)だとすら思う。隊員の任務は命を懸けて国土国民を守ること。当然家族も最悪の事態を覚悟する。だからこそ国家は彼らに最大限の敬意と名誉を与えるべきなのだ。社民党のポスターには、そのような発想は皆無、これも「空想的平和主義」の残滓(ざんし)なのか。 外務省に27年勤務し、イラン・イラク戦争、湾岸戦争、イラク戦争に遭遇した。僅かではあるが実戦も目撃した。古今東西、戦争は悲惨だ。形あるものは破壊され、多くの人々が死傷する。仁義は通用せず、ルールは最小限。だからこそ人類は軍人と民間人を区別し、後者の犠牲を最小限とすべく国際法を整備してきた。その本質は「軍人は民間人を守るべし」に尽きる。 今その守るべき多くの民間人