戦時中の最たる人権侵害である旧日本軍の従軍慰安婦問題で、軍の組織的関与を示す新たな事実が明るみに出た。太平洋戦争中にインドネシアで海軍兵曹長だった男性が、現地での女性の強制連行と隠蔽(いんぺい)工作を証言していた。 1962年に法務省が実施した戦争犯罪に問われた元軍人への聞き取りに対し、元兵曹長は「(慰安婦として)現地人など約70人を連れてきた」「他にも約200人を部隊の命で連れ込んだ」と、供述していた。 関東学院大の林博史教授の研究室が国立公文書館の保管資料を見つけた。さらに、元兵曹長は、強制売春が戦争犯罪に問われることを「最も恐れた」と告白し、「軍需部などに強硬談判して約70万円をもらい、各村長を通し住民の懐柔工作に使った」と、隠蔽の生々しい実態を語っていた。 軍当局が大金をばらまいてまで現地住民に口止めを図った事実は、重大な戦犯行為に当たると認識していた証左であろう。 強制連行、売春