恥を知れ、と非難するのもむなしくなる。今度は「お家芸」と呼ばれる体操界の騒動だ。 リオデジャネイロ五輪女子代表で、2020年東京五輪での活躍も期待される宮川紗江選手が、日本体操協会の塚原千恵子女子強化本部長と夫の光男副会長からパワーハラスメントを受けたと告発した。 宮川選手によると、千恵子氏から「五輪に出られなくなるわよ」などと高圧的に、コーチからの暴力を証言するよう迫られたという。千恵子氏は「脅すための発言はなかった」と反論している。 女子体操の主力である宮川選手は、秋の世界選手権の代表候補などを辞退した。18歳の選手が、東京五輪に向けた女子の強化責任者を告発するのは異常な事態である。パワハラの有無や問題の背景を究明し、健全な体操界を取り戻さなければならない。 宮川選手は、師事する速見佑斗コーチから暴力を伴う指導を受けた事実を認めたものの、コーチより「協会の方が恐怖だった」と語っている。