ロシアで女性の人権侵害が深刻化している。欧州人権裁判所(仏ストラスブール)は9日、家庭内暴力から露女性を適切に守らなかったとして、露政府に2万ユーロ(約240万円)の賠償を命じる初の判決を下した。ロシアでは近年、女性が被害者となることが多い家庭内暴力を刑事罰から行政罰に格下げするなど、世界的な女性の人権保護意識の強まりに逆行するような動きも起きている。世論調査などからは、家庭内暴力を正当化する国民意識も浮き彫りになっている。 (モスクワ 小野田雄一) 「国は助けてくれず」欧州人権裁判所の判決を伝えた露経済紙「コメルサント」の記事によると、モスクワから東に約900キロの都市、ウリヤノフスクに住んでいた女性(34)は、夫からの家庭内暴力に耐えきれず、2015年に夫を置いて自宅を離れ、モスクワに逃れた。夫はインターネット上の情報から女性を見つけ出し、無理やり自宅に連れ戻した。 女性は16年~18