長身で体格もよく、相手の目を見て堂々と話す中曽根康弘元首相は、米国人による日本の首相のイメージを変えた。それまでの首相には、よく言えば低姿勢、率直に打ち明ければ“へこへこ”した印象があった。 中曽根氏が首相に就任した1982年11月、私は米西部カリフォルニア州で暮らす日系米国人の小学生だった。まだ日本への関心が薄かった私が当時の中曽根氏を覚えているのは、白人の同級生が休み時間に「今度の日本の首相は格好いいね」と褒めたからだ。 米国人にとって一般的な日本人のイメージは、人と話すときに目を見ず、何を考えているのか分からない-というものだ。既にカラーテレビが普及していた時代、中曽根氏はまず第一印象が良かったのだと思う。 日米関係を研究する学者として振り返っても、中曽根氏は発信するメッセージが明確だった。東西冷戦の最中に自由主義陣営の一員として共産勢力と対決する姿勢を示した。レーガン米大統領やサッ
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