今週のJMMのお題は「成長と幸福の関係」。成長だけが幸福でないと言うと、ポスト近代みたいな雰囲気がするのかもしれないが、現実から目を逸らすことになるだけではないだろうか。今日は、成長よりも、もっとストレートな「消費」という観点で切ってみる。 1980年から近年までの民間消費の名目値をグラフにすると、おもしろいことが分かる。右肩上がりで増えてきたものが、1997年を境に水平になり、まったく伸びなくなっているのだ。つまり、豊かさが消費で表され、豊かであるほど幸福であるとするなら、日本の国民は、1997年のハシモトデフレ以降、不幸になったということである。 こうしたグラフ線の屈曲は、通常、構造変化を示すと解釈されるから、学問的に強い関心を呼ぶのが通例だが、何しろ日本では、度外れた緊縮財政でさえ、経済に影響しないという思想が蔓延しているため、ここが転換点だとは思われないようだ。むしろ、大した変化の
