社会心理学で「向社会行動」とは「他者の身体的・心理的幸福を配慮し、ある程度の出費を覚悟して、自由意志から他者に恩恵を与えるために行う行動」と定義されています。他人を助けたり、他人に積極的に関わろうとする行動、つまり弱者や困窮、困難に遭遇している人に対する思いやりの行動のことであると考えて良いと思いますが、特定の遺伝子がこうした行動に関わっていることが、オレゴン州立大学のSarina Rodrigues Saturn博士らがProceedings of the National Academy of Sciences 2011年11月14日オンライン版に発表した研究で明らかになりました。 博士らは自身の以前の研究で、ホルモンであり神経伝達物質としての作用もある「オキシトシン」の受容体に影響を与える遺伝的変異が、共感性とストレス反応に関係していることを発見していました。 そこで今回の研究では、
米国・南カリフォルニア大学(USC) Marshall School of BusinessのScott Wiltermuth博士らがJournal of Experimental Social Psychology 2011年7月7日オンライン版に発表した研究で、人は胸を張って背筋を伸ばした良い姿勢でいる方が、猫背の前かがみなど悪い姿勢をとっているよりも、より痛みやストレスに耐える力が強いことがわかりました。 博士らは胸を張った良い姿勢をとると、男性ホルモン値が上昇し、実際に力があり、自信を持つ人と同様のリスク・テイキングな行動を取るなどの結果を得た先行研究があることから、その人のとる姿勢の違いで、痛みやストレスに対する感覚的な変化が生じるのかどうか、実験によって確かめました。 一つ目の実験では、1.顎を上げ胸を張って周囲を見下ろすかのような自信満々の姿勢と、2.普通のまっすぐな視線の姿
★★★★★(評者)池田信夫 人間らしさとはなにか?―人間のユニークさを明かす科学の最前線 著者:マイケル・S. ガザニガ 販売元:インターシフト 発売日:2010-02 クチコミを見る 著者は脳神経科学の第一人者であり、特に分離脳の研究者として知られる。彼の行なった次の有名な実験は、脳科学の入門書によく出てくる: 分離脳の患者の視野をまん中で仕切って右と左が別々に見えるようにし、右目(左脳)にはニワトリの足先を見せ、左目(右脳)には雪景色を見せた。そのあと患者に見えたものと関係のある絵を選ぶようにいうと、右手(左脳)でニワトリ、左手(右脳)でシャベルを選んだ。そこで患者に「なぜニワトリを見てシャベルを選んだのか?」と質問すると、「ああ単純なことです。ニワトリ小屋を掃除するにはシャベルが必要だから」と答えた。(本書p.415) この患者の言語中枢は左脳にあるので、右脳(左目)が雪景色を見たこ
前の記事 ダイムラーが作った「史上初のバイク」、ギャラリー 「利他的な人」は嫌われる:実験結果 2010年8月31日 サイエンス・テクノロジー コメント: トラックバック (0) フィードサイエンス・テクノロジー Olivia Solon (Wired UK) 社会心理学の研究によると、グループ全体のために進んで自らを提供しようとする人は、同僚たちから嫌われるらしい。 「利己的でないメンバーをグループから放逐したいという願望」と題された論文(『Journal of Personality and Social Psychology』に掲載されたもので、4本のシリーズ論文のうち1つ)によると、「利己的でない人」はメンバー全体に求められる「基準」を引き上げてしまい、他の同僚たちを「悪く見える」ようにするため、同僚たちの恨みを買うことになるという。 「誰かの利己的でない振る舞いのおかげで、グルー
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