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ブックマーク / www.webdoku.jp (10)

  • 【今週はこれを読め! SF編】異文化での父子の生活、仮想世界に構成された人生、倫理の根拠を問う - 牧眞司|WEB本の雑誌

    『ゼンデギ』とは耳慣れぬ言葉だが、ペルシア語でLifeを意味する。物語の主要舞台はイランだ。主人公がふたりいて、最初は別々の物語が交互に語られ、徐々によりあわさっていく。 ひとりめの主人公は、オーストラリア人ジャーナリストのマーティンだ。彼は政権が揺らぐイランを取材すべく現地へ赴任する。その際、自宅に保管していたLPコレクションをすべてをデジタル化して保存するが、再生してみるとノイズが入っていた。コンピュータ任せにしたせいで欠損が生じたのだ。冒頭のこのエピソードが作品全体のテーマを反映している。 マーティンはイランの女性と結婚し一人息子ジャヴィードを授かるが、息子が五歳のときにが亡くなりマーティン自身も難病を抱えてしまう。ほかに身よりのない息子の将来を案じたマーティンが考えたのは、自分の代わりの「導き手」をつくることだった。その足がかりとなるのがヴァーチャルリアリティ・システム〈ゼンデギ

    【今週はこれを読め! SF編】異文化での父子の生活、仮想世界に構成された人生、倫理の根拠を問う - 牧眞司|WEB本の雑誌
    daddyscar
    daddyscar 2015/07/15
    イーガンは小説がうまくなってるよな。
  • 【今週はこれを読め! SF編】2冊のレア・トラックス! マニアに嬉しく、ビギナーに新鮮 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    今週は2冊対で取りあげたい。長らく日SF界を牽引してきた専門誌〈SFマガジン〉が先ごろ700号を達成し、同誌自体も来しかたを振りかえる特集を組んだ。この『SFマガジン700』はそれと連動したアンソロジーである。〈SFマガジン〉にこれまで発表された作品のなかから選りすぐり、【海外篇】は12篇、【国内篇】は13篇をまとめている。 装幀からしてカッコ良く、配色の対照は棚に並べて映えるナイス・ペア! 編者の名にちなみ「黒いマコト」「白いノゾミ」と呼ぼう。 さて、この2冊の記念アンソロジーは、いわゆる傑作集ではない。音楽アルバムに喩えれば、ベスト盤というよりレア・トラックス。と言っても、落ち穂拾いではなく、「おお、こんな作品が埋もれていたのか!」と嬉しくなるチョイスだ。ディープなファンほど価値がわかる。 通常のベスト・アンソロジーならば、海外(英米)SFでは『20世紀SF』全6巻(中村融・山岸真

    【今週はこれを読め! SF編】2冊のレア・トラックス! マニアに嬉しく、ビギナーに新鮮 - 牧眞司|WEB本の雑誌
    daddyscar
    daddyscar 2014/08/05
    SFマガジン700号記念アンソロジーについて。
  • 【今週はこれを読め! SF編】哲学と脳科学を結ぶ宮内悠介、世界をひっくりかえす藤野可織 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    7冊目となる創元SF文庫の「年刊SF傑作選」。前巻まで、よくわからないがカッコよさげな四字熟語のタイトルだったが、こんかいから収録作から表題をつけるようになって、まずはめでたい。覚えやすい。 2013年に発表されたあまたのSF短篇のうちから選りすぐって......が主旨だが、作者の意向、各版元の事情、アンソロジーとしてのバランス、文庫一冊という物理的制約などがあり、編纂はパズルを解くようだろう。しかも、苦労してできあがったラインナップを見て、半可通の野次馬(ぼくだ!)が「コレが傑作って、ネタじゃないの?」「ソレを入れるくらいならアレを入れろよ!」と勝手を言うのだから、アンソロジストとは報われぬ仕事である。ま、書の編者ふたりはそんなことすら見越したうえで、むしろ見せつけるように仕掛けているだろうが。 まず、読者がかぶるから大森編『NOVA』(河出文庫)からは採らないという方針は、アッパレ

    【今週はこれを読め! SF編】哲学と脳科学を結ぶ宮内悠介、世界をひっくりかえす藤野可織 - 牧眞司|WEB本の雑誌
    daddyscar
    daddyscar 2014/07/08
    丁寧な書評。取り上げられている本を読みたくなる。
  • 【今週はこれを読め! SF編】神学と妄想との捩れ、逡巡する物語、螺旋状に深化する思索 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    カルト的支持も一部にあるディック晩年の問題作『ヴァリス』が新訳された。大瀧啓裕の手による旧訳にくらべ、こんかいの山形浩生訳は語り手「ぼく」の言葉づかいがずいぶんくだけており、ところどころにユーモアや皮肉がにじむ。 たとえば、〔前に精神科医に、治るには二つのことをしなきゃいけないよ、と言われた。ヤクをやめること(やめてなかった)、そして人を助けようとするのをやめること(いまでも人を助けようとしていた)〕といった具合。 喋り言葉の勢いもよく活かされている。〔これに対してぼくは個人的にこう言いたくてたまらない。ファット、そりゃテメーの話だろ、と〕 後者の引用で「ぼく」がツッこんでいる相手(ファット)とは、じつは「ぼく自身」だ。『ヴァリス』は自伝的作品だが、"必要不可欠な客観性を得るべく"三人称の主人公ホースラヴァー・ファットが設定されている。しかし、その"客観性"を宣しているのは「ぼく」自身なの

    【今週はこれを読め! SF編】神学と妄想との捩れ、逡巡する物語、螺旋状に深化する思索 - 牧眞司|WEB本の雑誌
    daddyscar
    daddyscar 2014/06/01
    新訳(山形浩生訳)『ヴァリス』について。
  • 【今週はこれを読め! SF編】血なまぐさい潤滑油、錆びた重金属の肉。グロテスク生態テーマの衝撃作 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    イタリアは古くはダンテ、現代ではイタロ・カルヴィーノ、ディーノ・ブッツァーティ、トンマーゾ・ランドルフィなど傑出した想像力の文学を輩出している国だ。だから、けっして侮っていたわけではない。しかし、まさかSFでこれほどの衝撃作品が書かれているとは! 書は異様生態系テーマの頂上に位置する傑作である。 酉島伝法『皆勤の徒』(欄で紹介)は、ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』や椎名誠『アド・バード』『武装島田倉庫』の系譜で超進化を果たした、異様生態系/異様語彙の極致だった。それに対して『モンド9』は、ブルース・スターリング「巣」やパオロ・バチガルピ「砂と灰の人々」を髣髴とさせる猥雑生命/暗澹環境のスペクタクルだ。スターリングやバチガルピは短篇小説の切っ先でグロテスクな世界の情景を切りとって見せたが、ダリオ・トナーニは同等の強度を保ったまま(むしろ尻上がりで)長篇を語りきっており、こち

    【今週はこれを読め! SF編】血なまぐさい潤滑油、錆びた重金属の肉。グロテスク生態テーマの衝撃作 - 牧眞司|WEB本の雑誌
    daddyscar
    daddyscar 2014/03/05
    イタリアの年間ベストSF賞(カシオペア賞)を取ってるらしい。翻訳者本人の解説も。http://www.c-light.co.jp/modules/column/index.php/kubo_40/kubo_40_10.html
  • 作家の読書道:第59回 法月 綸太郎さん

    第59回:法月 綸太郎さん (ノリヅキ・リンタロウ) 非常に論理的に構築された推理小説で、私たちをいつも唸らせてくれる法月綸太郎さん。今回はお住まいのある京都でお話をうかがいました。 とっても穏やかに話してくださる姿が印象的。読書歴から広がって、ミステリー小説歴史や、京大ミステリ研のエピソードなど、興味深いお話がたっぷりです。 (プロフィール) 島根県出身。 京都大学法学部卒。 在学中は京大推理作家研究会に所属。 1988年『密閉教室』でデビュー。 以後ロジカルかつ大胆な推理で読者を圧倒する格ミステリを次々と生み出す。 2002年には『都市伝説パズル』で第55回推理作家協会賞短編賞を受賞。 近著に『生首に聞いてみろ』『怪盗グリフィン、絶体絶命』などがある。 『エルマーのぼうけん』 ルース・スタイルス・ガネット(著) 福音館書店 1,155円(税込) >> Amazon.co.jp >>

    daddyscar
    daddyscar 2012/07/09
    法月のインタビュー。めずらしい。
  • 『涼宮ハルヒの驚愕』最速レビュー - 大森望|WEB本の雑誌

    『涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)』 谷川 流,いとう のいぢ 角川書店(角川グループパブリッシング) 950円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 〈涼宮ハルヒ〉シリーズ4年ぶりの新作、『涼宮ハルヒの驚愕』が5月25日午前零時、ついに発売された。今回リリースされたのは、(前)(後)2巻セットに64ページのオールカラー特製小冊子「涼宮ハルヒの秘話」が付属する初回限定版(体カバー裏には定価もISBNもなく、シュリンクに貼ってあるシールのほうに印刷されている)。分売・返品不可の買切という条件にもかかわらず、確定部数は51万3000セット(2冊合わせると102万6000部)と、ライトノベル史上最高の初版部数を記録した。 〈涼宮ハルヒ〉シリーズ全体の総売り上げは、この2冊分を含めて累

    『涼宮ハルヒの驚愕』最速レビュー - 大森望|WEB本の雑誌
    daddyscar
    daddyscar 2011/05/25
    「最速レビュー」とあるが情報が羅列されてるのみで内容にほとんど触れてないのは、大森望のところにも書評用のゲラとか届いてないってことかいな。
  • 伊藤計劃『ハーモニー』が海外のSF賞を受賞 - 大森望|WEB本の雑誌

    4月23日、今年のフィリップ・K・ディック賞が発表され、伊藤計劃の長編『ハーモニー』の英訳版(アリグザンダー・O・スミス訳、Harmony by Project Itoh)が審査員特別賞(Special Citation Award)を受賞した。 同賞は、作品のほとんどをペーパーバックで発表したP・K・ディックにちなんで、前年にアメリカで出版されたペーパーバック・オリジナルのSF作品を対象に選ばれる賞。 『ハーモニー』は2009年3月に34歳の若さで世を去った伊藤計劃の最後の長編。医療技術の進歩により万人が健康に暮らせるようになった21世紀後半、だれもが健康で平和な社会に対して敢然と反抗を試みた3人の少女と、彼女たちの"その後"を描く。 日では、ハヤカワSFシリーズJコレクションから2008年12月に刊行。国内では、第40回星雲賞日長編部門と、第30回日SF大賞を受賞している。 授賞

    伊藤計劃『ハーモニー』が海外のSF賞を受賞 - 大森望|WEB本の雑誌
  • 水嶋ヒロ『KAGEROU』最速(?)レビュー - 大森望|WEB本の雑誌

    第5回ポプラ社小説大賞を受賞した齋藤智浩のデビュー長編『KAGEROU』が12月15日午前0時から販売開始。青山ブックセンター六木店はじめ、終夜営業の書店にはワイドショーの撮影クルーが詰めかけ、村上春樹『1Q84 BOOK3』発売時以来の大騒ぎとなった。 人気俳優・水嶋ヒロの処女長編とあって、同書は発売前から話題が沸騰。刷り部数は、すでに4刷43万部に達している。歩安入帳の責任販売制(返品時には掛け率が低くなるため、売れ残った場合には一定のリスクがある)で各書店からの予約注文を積み上げた結果らしいが、新人の小説デビュー作としては記録的な数字だ。 小説の中身は、予想に反して、40歳の中年ダメ男が主人公の脱力系ドタバタコメディ。帯裏の内容紹介、 "廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンス。/「かげろう」のような己の人生を閉じようとする、絶望を抱えた男。/そこに突如現れた不気味に冷笑する黒服

    水嶋ヒロ『KAGEROU』最速(?)レビュー - 大森望|WEB本の雑誌
  • 作家の読書道 第101回:円城塔さん|作家の読書道|WEB本の雑誌

    『カメレオンの呪文―魔法の国ザンス1 (ハヤカワ文庫 FT 31 魔法の国ザンス 1)』 ピアズ・アンソニイ 早川書房 929円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub LawsonHMV honto 『トリフィド時代―人植物の恐怖 (創元SF文庫)』 ジョン・ウィンダム 東京創元社 1,015円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub LawsonHMV honto 『ロードス島戦記―灰色の魔女 (角川文庫―スニーカー文庫)』 水野 良 角川書店 商品を購入する Amazon HonyaClub LawsonHMV honto ――古い読書の記憶といいますと...。 円城:あんまりないんですよ。記憶が(笑)。小学生の頃ですよね。高学年くらいになるとを読んでいたはずなんですが、最初はファンタジーものが多かったと思います。よく思い出せないんですけれど、

    作家の読書道 第101回:円城塔さん|作家の読書道|WEB本の雑誌
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