キャッシュレス決済の主導権確保に向けて、銀行業界の熱が上昇しています。ところが、小売りなど他の業界からの視線は極めて冷ややかなのです。銀行業界がホットになるほど、「銀行業界の空回り」ぶりにあきれるムードが強まっています。その状況を金融ジャーナリスト、浪川攻さんが報告します。【毎日新聞経済プレミア】 ◇全銀協会長がキャッシュレス推進協メンバーに 日本は世界のなかでも突出した現金決済王国だ。その日本でキャッシュレス決済を進めようと、経済産業省が主導し産学が加わった「キャッシュレス推進協議会」が7月に発足した。そのメンバーに銀行業界を代表して藤原弘治・全国銀行協会会長(みずほ銀行頭取)が就いた。 7月19日に行われた藤原・全銀協会長の定例記者会見は、そのキャッシュレス決済が質疑のメインテーマとなった。藤原会長は、金融業界をはじめ小売り、外食産業を含めて現金の取り扱いコストが産業界全体で8兆円にの