海外より患者数が少ないのに、なぜ医療崩壊の危機なのか 「コロナというだけで、(患者を)断るって気持ちがわかりませんね」 と、岸和田徳洲会病院の東上震一総長が私に言った。昨年の夏、関東が第5波でパニックに陥っている頃のことだ。 「僕ら民間の病院ですが、“絶対に断らない”を実践できますよ。私が現場で心臓外科医として奮闘していた頃、ただの一度も『お願いします』を断ったことはないです。なんでかといったら日本中の緊急性のある心疾患の患者がくるわけではない。自分の病院にきた患者、緊急性のある患者は絶対に断らない――全ての病院や医師がその姿勢でやれば医療逼迫ひっぱくは、あっという間に解消されます。日本の医療資源は潤沢なんですよ。あまり精神論を言いたくないですが、『もうちょっと頑張ってみよう』とコンセンサスをとれないことが医療危機ではないでしょうか」 その通りだと思った。日本は世界最大級の病床を誇るのだ。