ハードウェアとソフトウェアが分離され始め、今日の「コンピュータ」の概念が確立されたのは、1970年代。ハードの世界では、IBMの名機に対抗すべく、日本のコンピュータ・メーカーが再編の道を模索していた。ソフトは「産業」としての形成と発展を始めていた。技術クロニクル(年代記)の第3回で描かれるのは、世界市場への挑戦を始めた日本の「IT業界」の草創期です。 現在からはとても信じられないだろうが、1970年の大卒男子の初任給平均額は3万7800円だった。それが10年間で11万4500円に跳ね上がった。 国民の所得や企業の売上高ばかりでなく、技術開発の分野でも“高度成長”の時代だったといっていい。円の変動相場制移行や オイルショックといった大きな衝撃を、日本の産業界は省資源化技術や省力化技術で乗り越えることができたのである。 IT産業は「電子計算機からコンピュータへ」の時代を迎えていた。1970年6