2016年01月25日22:47 カテゴリその他 高木健一氏へのお詫び 私が、2014年9月1日に当ブログに掲載した「慰安婦を食い物にする高木健一弁護士」と題する記事において、「慰安婦を食い物にする高木健一弁護士」、高木健一弁護士と受け取られるような書きぶりで「慰安婦を食い物にする『ハイエナ弁護士』」と記載したことは誤りでしたので、高木弁護士に多大なご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げます。 平成28年7月27日 池田信夫 「その他」カテゴリの最新記事
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2015年05月31日00:36 カテゴリ法/政治 平和ボケの起源 オーソン・ウェルズ主演の映画「第三の男」に、有名なせりふがある。イタリアでは、ボルジア家の30年の圧制はミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、そしてルネッサンスを生んだが、スイスの500年のデモクラシーと平和は何を生んだ? 鳩時計さ。これにならっていうと、神聖ローマ帝国が崩壊した後のドイツは200年にわたる戦乱の中ででヘーゲルやベートーベンやゲーテを生み出したが、徳川300年の平和は浮世絵ぐらいしか生み出さなかった。 もちろん平和なほうがいいのだが、宗教戦争と疫病で人口が半減したドイツでは、人々はつねに死に直面し、「人生に意味はあるのか」とか「神は存在するのか」などと考えざるをえない。彼らの暮らしていた中世の共同体は崩壊したので、バラバラの個人が何に依拠して生きるのか、という哲学的な問題をいつも考えていた。 それに対し
2015年02月13日18:16 カテゴリメディア 植村隆氏への回答 元朝日新聞の植村隆氏が、あちこちに訴訟を起こしている。今週は櫻井よしこ氏とWiLLを相手に起こし、他にも多くの内容証明を送っているようだ。私には来ていないが、彼が『世界』2月号で私の『朝日新聞 世紀の大誤報』に反論しているので、お答えしておく。 彼が事実誤認だと指摘しているのは、1992年1月の「慰安所 軍関与示す資料」の記事を植村氏のものと私が書いた点だが、これは昨年12月22日に発表された朝日新聞の第三者委員会の報告書で次のように事実関係が明らかにされた。吉見氏は1991年の年末に資料の存在について東京社会部の記者であった辰濃哲郎に連絡をしたと言い、上記朝刊1面記事を中心となって執筆した辰濃は、1991年の年末に吉見氏から連絡を受けて過去の政府答弁などを調べ、当該資料の存在にはニュース性があると判断して記事化を考えた
2015年01月04日18:06 カテゴリ法/政治 ピケティと主権国家 ピケティは、レジオン・ドヌール勲章を拒否した。「名誉ある人を決めることが政府の役割だとは思わないからだ」という。ここには彼の国家観がよくあらわれている。『21世紀の資本』の冒頭に掲げられているのは、フランス人権宣言の第1条である。人は自由かつ権利において平等(egaux en droits)なものとして生まれ、生存する。社会的差別は、共同の利益に基づくものでなければ設けられない。ここにいう平等は、日本人のイメージする結果の平等ではなく、すべての人が等しく同じ人権をもっているという同等性である。これは今では自明にみえるかもしれないが、1789年にはそうではなかった。特定の国にも身分にも依存しない人権という概念は、それまでヨーロッパにはなかった。 バークは、このような普遍的な人権という思想を批判した。すべての人間が「同じ人
2015年01月03日13:07 カテゴリ法/政治 あの戦争は「15年戦争」ではない 天皇が年頭所感で満州事変に言及したことが話題になっているが、原文は次の通り:本年は終戦から70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています。これは太平洋戦争だけでなく、1931年以降の「15年戦争」全体を考えるべきだという意味だろうが、このように30年代以降の戦争を一まとめにするのは間違いのもとだ。そもそも1931年9月18日に始まった満州事変から1945年8月15日までは14年足らずであり、15年戦争という名前がおかしい。 特に満州事変と
2014年12月31日12:34 カテゴリ経済 一国ケインズ主義の終焉 今年は「アベノミクス」が見事に失敗した年だった。マネタリーベースは276兆円と史上最大を記録したが、図のようにコアCPI上昇率は0.7%に下がった。「異次元緩和」で物価が上がったようにみえたのは、昨年後半の原油価格の上昇が原因であり、今年のCPI低下も原油価格の暴落が原因だ。 コアCPI上昇率(左軸)とWTI原油価格(ドル/バレル)コアCPIは原油価格からほぼ3ヶ月遅れでパラレルに動いているので、この図から類推すると、今の原油価格(50ドル台)が続くと、来年4月にはデフレになるだろう。物価指標に日銀のコントロールできないエネルギー価格を入れていることが、過剰な物価変動の原因になっているのだ。 黒田総裁の本当のねらいは円安にあったと思われるが、それによって貿易赤字は増えた。おまけにJBpressにも書いたように、せっかく
2014年12月30日09:54 カテゴリ経済 GDPからGNIへ 今年はアベノミクスで大騒ぎしたあげく、マイナス成長に終わりそうだ。安倍政権は「賃上げ要請」とかバカなことをやっているが、それよりプラス成長に変える方法がある。GEPRにも書いたことだが、経済規模をGDP(国内総生産)ではなくGNI(国民総所得)でみればいいのだ。 GNIは昔、使われていたGNPと同じ数字(所得側から見たもの)で、GDP+海外収益と考えてよい。たとえば電機メーカーが国内で年間50億円の利益を上げていた液晶の工場をを台湾に移し、100億円の配当を本社に払うとすると、日本のGDPは50億円下がるがGNIは50億円上がる。逆に台湾のメーカーが日本の工場で上げた利益は、GNIにはカウントされない。 つまりグローバル化が進むとGNI-GDPは大きくなる。図のように、この20年、実質GNIは一貫してGDPを上回り、その差
2014年12月22日23:53 カテゴリメディア 朝日新聞の「角度をつける」報道 朝日新聞の第三者委員会の報告書をざっと読んでみたが、全体としては比較的フェアに朝日の失敗を評価している。8月5日の「慰安婦問題の本質 直視を」という記事については、こう批判している。この論文において読者に対し何を訴えるかは、朝日新聞にとって極めて重要な意味を持つものである。しかし、論文は吉田証言を記事にするに際して裏付け調査が不十分であったことを「反省します」と述べるにとどまって、「慰安婦問題の本質は女性が自由を奪われ、尊厳を踏みにじられたことである」との主張を展開し、他メディアにも同様の誤りがあったことを指摘するという論調であった。このような構成であったことが、読者に対し朝日新聞の真摯さを伝えられず、かえって大きな批判を浴びることとなった原因である。しかし最大の問題である強制連行については、朝日の記事が「
2014年12月11日17:11 カテゴリメディア 「強制連行」をでっち上げたのは植村隆ではない きのう発売の『文藝春秋』に、「慰安婦問題『捏造記者』と呼ばれて」という朝日新聞の植村隆元記者の手記が掲載されている。28ページにわたる記事のほとんどが「他社もやっていた」という言い訳と、彼が迫害されて職を失った話で、反省も謝罪もない。 特に大きな問題は「女子挺身隊」という日本政府による徴用を意味する言葉を、私的な慰安婦に使ったことだ。問題の1991年8月11日の記事はこうなっている。日中戦争や第2次大戦の際、「女子挺身隊」の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた「朝鮮人従軍慰安婦」のうち、1人がソウル市内に生存していることがわかり、「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)が聞き取り作業を始めた。これについて植村は「意図的な捏造ではない」と主張し、「他社も挺身隊と書いていた」とか「
2014年12月13日12:14 カテゴリ本 「戦後リベラル」はどこで間違えたのか きのうのVlogでも話したことだが、朝日新聞の失敗の原因は、終戦直後から彼らが受け継いできた絶対平和主義であり、その教祖が丸山眞男である。 1950年に丸山が中心となって書かれた平和問題談話会声明の「全面講和」の平和主義は、いま読むとナンセンスだが、社会党の運動方針となり、いまだに朝日新聞や日教組などの「戦後リベラル」の亜流に受け継がれている。 しかし丸山自身は、60年安保のスターになったあと、マスコミから姿を消した。それは政治活動の「夜店」を畳んで日本政治思想史の「本店」に専念するためだ、と彼はいっているが、その後は過去の政治活動についてまったく語らなくなる。 本書の原型は1952年に出版された小冊子だが、丸山はこれを絶版にし、論文集にも収録しなかった(今年、文庫で復刊)。その理由を彼は「デモクラシーを支
2014年12月03日19:49 カテゴリメディア NYタイムズの敗北宣言 マーティン、 久しぶりに、君の記事を熟読したよ。君は私のところに2度やって来て日本経済について話し、われわれの意見はほぼ一致した。君の日本語は見事なので、この手紙も日本語で書く。英語の手紙は前に書いたけど、読んでくれたかな。 もちろん読んだだろう。君は私のブログの熱心な読者だし、田淵広子記者も私と何度も議論した。事実にもとづいて論理的に議論する訓練ができている点は、朝日新聞よりずっと上だと思う。今回の記事も、朝日の敗北宣言から4ヶ月たって、10月の曖昧な記事に比べると、事実関係を率直に認めている。 君が私のブログから学んだもっとも大事なポイントは、君と田淵記者の敬愛する大西元支局長の記事は擁護できないということだと思う。君はこう書いている。There is little evidence that the Japa
2014年11月02日15:02 カテゴリ経済 「明治型」財政システムの終わり クルーグマンが「日本に謝罪した」とかいうニュースが出回っているが、これはいつもの皮肉だ。今まではFRBのQEが不十分だという批判だったが、今回はECBのバラマキ財政が不十分だといういやみである。サックスも指摘するように、これはナンセンスである。日本はすでにGDPの2倍の財政支出をしており、バラマキ財政が役に立たない見本なのだ。 本質的な問題はマクロ政策ではなく、EUのシステムにある。竹森俊平氏も指摘するように、財政には次の3条件のうち同時に2つしか満たすことができないトリレンマがある。自由な人口移動 共通通貨 財政政策の独立性ユーロではすべてを満たせるように見えたが、これはECBが政策金利を決めて実質的にドイツが南欧を支援し、1の人口移動を抑制するしくみだった。この制度は各国の金利が同じような水準にあったときは
2014年11月01日13:01 カテゴリ科学/文化 アメリカ人の誤解している「性奴隷」 朝日新聞が、久しぶりに味方が出てきたので、張り切って英語版でも記事を書いている。ナイとアーミテージの話だ。Joseph Nye, a former U.S. assistant secretary of defense, warned that any move by Tokyo to revise the 1993 Kono statement of apology to former “comfort women” will only undermine Japan’s national interests.ここでナイは「河野談話の見直し」を牽制しているが、日本政府はそういう方針を表明したことがない。菅官房長官は河野洋平氏のコメントを取り消すことを検討し、外務省は国連の報告書に訂正を求めているだけ
2014年10月21日21:32 カテゴリ法/政治 「河野発言」を取り消すべきだ 超こまかい話だが、国会の争点になると思うので書いておく。毎日新聞によると、菅義偉官房長官はきょうの国会で、1993年の河野談話のときの記者会見で「強制連行の事実があったという認識か」という質問に対して、河野氏が「そういう事実があったと。結構です」と発言したことが「大きな問題だと考えている」と答弁した。これはきのうの番組で、田原さんと私の意見が一致した点である。外務省は河野談話で「強制」という言葉も使わず、「強圧」とか「加担」とかいう言葉で玉虫色に書いていたが、河野氏がこれを会見でぶち壊してしまったのだ。 菅氏は強制連行について「私どもはそこは否定し、日本の名誉、信頼を回復すべきだと訴えている」と強調する一方で、河野談話そのものについては「継承し見直しはしない」という方針を明らかにしたという。国会に河野氏を呼ん
2014年10月19日22:54 カテゴリ科学/文化 マルクス主義の亡霊 歴史学研究会の声明が、ちょっと話題になっている。これは吉見義明氏もメンバーになっている唯物史観の学会なので、その主張は彼と同じく「広義の強制」という曖昧な話で日本政府を断罪するナンセンスだが、科学運動というページがおもしろい。政府首脳と一部マスメディアによる日本軍「慰安婦」問題についての不当な見解を批判する 憲法解釈の変更による集団的自衛権の容認に反対する 特定秘密保護法案に対する反対声明 大阪府議会における、「日の丸」常時掲揚・「君が代」斉唱時起立条例の強行可決に抗議する・・・といった調子で、まるで朝日新聞の見出しだ。2012年の学会のテーマは「変革の扉を押し開くために―新自由主義への対抗構想と運動主体の形成―」で、報告には「新自由主義政治転換の構想と主体形成」とか「アラブ革命の構想力―グローバル化と社会運動―」な
2014年09月02日11:44 カテゴリ法/政治 「ハト派」が戦争を誘発する 慰安婦問題の経緯を振り返ると、韓国で元慰安婦を募集して「放火」したのが高木健一弁護士、それを大々的に報道して日韓関係に「延焼」させたのが朝日新聞、そしてこれを謝罪して日韓関係を「全焼」させたのが宮沢首相・河野官房長官だった。おまけにこの話が国連で取り上げられたとき「消火」を妨害したのが、村山内閣の河野外相だった疑いがある。 彼らの共通点は「日本が戦争犯罪を全面的に謝罪すれば日韓関係は改善する」と考えているハト派だということである。これは日本がアウシュヴィッツのような戦争犯罪を朝鮮でやったのなら正しいが、当時の朝鮮は日本の領土だったのだから、戦争犯罪はできない。そこで左翼が強制連行やら慰安婦やらのガセネタを持ち出したわけだ。 とりあえず謝れば相手もわかって水に流してくれると考えるのが日本人だが、相手は日本人とは違
2014年07月01日19:29 カテゴリ科学/文化 大学教育では遅すぎる 今まで科挙が中国の停滞の原因になったと書いたが、これはちょっと不公平かもしれない。科挙の1000年以上の歴史の中で、中国が停滞したのは18世紀以降で、それまで中国が世界の最先進国だった一つの原因も科挙や儒学にあるからだ。 科挙は日本の公務員試験とは違い、年齢・学歴不問である。最初の試験は童試と呼ばれ、10歳以下を想定していたが、大人でもこの試験に合格できない人は永遠に「童子」だった。現代でいうと中学校の入学試験が公務員試験の一次試験になっているようなものだ。 この童試に受かることが支配階級に入る絶対条件なので、今でいえば「お受験」のための予備校が大繁盛したが、その授業は四書五経を暗記するものだった。子供には何のことかわからなかっただろうが、とにかく文字を読む訓練を猛烈にしたのだ。 このように年齢も学歴も問わないで、
2014年06月09日00:11 カテゴリ科学/文化 韓国はなぜ民度が低いのか 今週のメルマガでもちょっと書いたが、日本人と韓国人は遺伝的にも地理的にもほとんど同じなのに、極端に国民性が違うのはなぜだろうか。それは先日も紹介した不完備契約理論で説明できる。 中国は絶対王制のようにみえるが、科挙で選ばれた官僚(士大夫)は10万人に1人ぐらいの「超小さな政府」である。中国のように広大な領土と膨大な人口を西洋近代のような立憲主義で統治したら、議会や司法機関にかかるコストは何百倍も必要になる。つまり『「日本史」の終わり』でも書いたように、中国の王朝は戦争を抑止する機能に特化した(ノージックとは違う意味の)最小国家なのだ。 ここで王朝を安定させているのは、露骨な暴力ではない。中国の隅々まで暴力支配したら、とんでもないコストがかかる。その権力の源泉は情報の独占だった。科挙の競争率は3000倍ともいわれ
2012年07月22日00:05 カテゴリ本 モラルの起源 坂本龍一氏の「たかが電気」という発言が大きな反響を呼んでいる。これは脱原発運動なるものが、電力インフラを維持している労働者に寄生しながらそういう仕事を軽蔑するフリーライダーの集団であることを象徴的に示しているからだろう。ただ乗りは個人的には合理的だが、社会にとっては脅威である。すべての個人が坂本氏のように他人の労働にただ乗りすると、集団は維持できない。 ダイエーの創業者、中内功は第2次大戦でレイテ島に従軍したが、日本軍は壊滅した。このとき「一番恐ろしかったのは、敵の銃弾ではなく隣に座っている日本の兵隊だった。眠ると隣の日本兵にいつ殺されるかと思って眠れない夜が何晩もあった」という(佐野眞一『カリスマ(下)』p.280)。レイテ島を舞台にした大岡昇平の名作『野火』にも、同僚を殺して食う兵士の話が出てくる。 現代でもこうなるのだから、
2012年07月18日22:12 カテゴリ法/政治 電力会社の社員に表現の自由はないのか 15日に名古屋市で開かれた意見聴取会での中部電力社員の発言が問題になっている。野田首相は意見聴取会から電力会社の社員を排除する方針を表明し、中部電力は「不適切な発言」があったとして、この課長(岡本道明氏)を注意処分にした。彼はそれほど不適切なことを言ったのだろうか。 報道によれば、彼の発言はおおむね次のようなものだ。政府の示す「原発依存度」の3つの選択肢について「個人的な意見として、原発をなくせば経済や消費が落ち込み、日本が衰退する」として「20~25%」を選び、「原子力のリスクは過大評価されている。(福島第一原発事故で)放射能の直接影響で亡くなった方は1人もいない。今後、5年10年たってもこの状況は変わらないと思う」と述べたところで、会場から野次が出て聞こえなくなった。 会社が注意したことでもわかる
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