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ブックマーク / www.news-postseven.com (17)

  • 沖縄の「土人」発言 歴史的にどう解釈すべきか

    しばらく前、沖縄で機動隊員が活動家たちを差別語で怒鳴りつけたとニュースになった。最近、ネットでもリアルでも「差別認定」が盛んだ。評論家の呉智英氏が、差別語と呼ばれる言葉について、どのように解釈すべきなのかを改めて考えた。 * * * 先月、沖縄の米軍ヘリパッド移設工事に反対する活動家たちを、警備の機動隊員が「土人」とか「支那人」とか呼んだとして議論が起きている。議論といっても、無知な者が無知な者を論難しているだけだから、何の深化もない。 「支那」問題については、私は全共闘の学生だった頃から、支那は「支那」だと言い続けてきた。世界共通語である「支那」が日でだけ禁圧される差別性を批判してきたのだ。ここではごく短く今回の事件について一言しておこう。 機動隊員は「支那人」を侮蔑的な意味で使ったらしいが、これがそもそも無知である。支那人を侮辱する言葉は別にある。そんなことさえ知らないのだ。どうせな

    沖縄の「土人」発言 歴史的にどう解釈すべきか
    einoji
    einoji 2016/11/27
    私の努力の成果か、さすがにジャーナリズムは「土人」の積極面をためらいながら認め出した。/今回の事件の報道でも、21日のNHKニュースでは「土着の人を意味する土人と発言」と、ためらいがちに報じた。…
  • 呉智英氏 共産主義を知るには反共主義者から学べ

    ソビエト連邦が消滅してから25年が経つ。当然、徐々に社会主義や共産主義に対する関心が薄れていったのだが、最近は北朝鮮中国に関するニュースが増えたことで、再び共産主義に興味を持つ若者が少なくないらしい。評論家の呉智英氏も、学生から共産主義のことがわかるはないでしょうかと聞かれることが増えている。共産主義の魅力も弱点もわかる概説書を、呉氏が紹介する。 * * * 最近、学生から「先生、共産主義の概説書のいいはありませんか」と聞かれることがよくある。社会運動だの支那や北朝鮮の動向だのが報じられる割に、その根底にあるらしい共産主義が、真偽も含めて分かりにくいのだろう。 でも、概説書って……。日共産党の出している共産主義入門のたぐいか。真逆!(「まさか」と正しく読んでね)。そんなもの読んだって無知の地獄へ真逆様だ(「まっさかさま」と正しく読んでね)。となると、そうだ、優れた反共主義者が書いた

    呉智英氏 共産主義を知るには反共主義者から学べ
    einoji
    einoji 2016/11/27
    共産主義が、真偽も含めて分かりにくいのだろう。/優れた反共主義者が書いた名著があった。一つは、小泉信三『共産主義批判の常識』/もう一冊が猪木正道『共産主義の系譜』
  • ドゥテルテ比大統領の言動から考える法治主義の限界

    世界中が、テロや組織犯罪への有効な対策を見つけらず、かといって乱暴な対処はとれず戸惑っている。しかしフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は施政方針演説で「麻薬王や資金源、密売人の最後の一人が自首するか、あるいは投獄されるまでやめない。彼らが望むならあの世に葬り去ってもよい」と述べ、超法規的殺人を実行している。評論家の呉智英氏が、ドゥテルテ大統領の言動から現代の良識と法治主義の限界について考えた。 * * * フィリピンのドゥテルテ大統領の言動に注目が集まっている。これを報じるマスコミの姿勢に微妙なとまどいが感じられて面白い。現代の良識なるもののアキレス腱がそこに露呈しているようだ。 ドゥテルテは、六月末に大統領に就任後、九月初めまでの二ヶ月間で千百人もの麻薬犯罪容疑者を殺害した。警察官のほかに民間の処刑団も動員し、裁判手続きもない「超法規的殺人」を行なった。一部に冤罪被害者も出ている。

    ドゥテルテ比大統領の言動から考える法治主義の限界
    einoji
    einoji 2016/10/09
    法治主義とは法による政治、すなわち、法による統治権力行使ということである。/それを認めているのは当の統治権力である。統治権力があって法治主義がある。統治権力はその初めに、そして根底に、必ず暴力装置を…
  • SEALDsが社会と文化に良い影響を与えたと感じた理由

    「特定秘密保護法に反対する学生有志の会」から発展して2015年5月に結成された「自由と民主主義のための学生緊急行動」、略称「SEALDs」(シールズ)が、解散した。「デモはかっこいい」を掲げて活動する彼らに対しては、常に賛否両論が激しく交わされていた。評論家の呉智英氏が、シールズの活動が社会と文化に与えた影響について考えた。 * * * 8月末、安全保障関連法に反対する学生団体SEALDs(シールズ)が1年3ヶ月の活動を終えて解散した。彼らの活動をどう評価するか。新聞・雑誌に掲載された記事の中で面白かったのは8月23日付の産経新聞の社説「主張」である。その論旨自体はよくある保守系のシールズ批判なのだが、皮肉が利いていて、その部分が面白かったのだ。 まず、見出しが「『勝利』まで戦い続けては」。文では「若者が声をあげることに一定の評価は惜しまない。解散などせず、『真の勝利』を目指して戦い続け

    SEALDsが社会と文化に良い影響を与えたと感じた理由
    einoji
    einoji 2016/10/09
    私自身はシールズに一貫して冷笑的だった。あんなものは、良くて徒労、悪くすれば安倍政権を利するだけだ、と思っていた。/安倍政権を利するとは、異論を許す寛大な政権というイメージを作るからであり、また…
  • 小林よしのり氏 「自虐史観」から「自尊史観」の急変を嘆く

    人の戦争観を翻した『戦争論』から17年、小林よしのり氏が戦場ストーリー巨編『卑怯者の島』を上梓した。京都国際漫画ミュージアムで開催中の「マンガと戦争展」のイベントとして企画された小林氏と評論家・呉智英氏の特別対談。二人は小林氏が描く「マンガと戦争」について、議論した。 呉:「戦争だからみんないけない」とか、「日人は被害者だったからみんな死んじゃってかわいそう」とか、あるいは「殺された支那人はみんなかわいそう」とか、そういう単純なものではないだろうと。それから、おそらくは、福岡という土地の中で、子供のころからそれをどれだけ聞いていたかわからないけど、大アジア主義における「黒龍会」(頭山満の玄洋社から派生した団体)などの流れもあって、やはり、評価すべきものは評価していかなきゃいけないという思想があったんじゃないかと思うんですけどね。 小林:そうですね。展示も見ましたけど、結局、わしの小学

    小林よしのり氏 「自虐史観」から「自尊史観」の急変を嘆く
    einoji
    einoji 2016/09/26
    ’15 8/15 『戦争論』以降は、とにかく「日本人は誇らしい、素晴らしい民族だ」みたいな話になってしまったっていうことで、どんどん揺れ動くんですよ/真ん中に止まるっていうことがないな、この日本人っていうものは…
  • 相模原事件 「被害者氏名非公表」に従った記者クラブの欺瞞

    神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で死者19人、重軽傷者26人(7月28日現在)を出した大量殺戮事件。今回の事件の報道には、これまでの殺人事件と大きく違う点がある。被害者の名前が公表されていないことだ。 未成年が加害者の場合、少年法があるため、「被害者は実名なのに加害者が匿名」という事態が起きたが、被害者が匿名というケースは極めて異例である。 理由について神奈川県警は、「遺族が氏名などを出したくないという意見を持っている」と説明した。そのことを新聞各紙は説明しているものの、それに疑問を呈した報道は少ない。 奇妙ではないか。たとえば同じく7月に起きたバングラデシュでのテロ事件では、「家族の了解を得ていない」として政府が被害者の実名公表を控えるなか、新聞・テレビは次々に実名を報じた。 朝日新聞は特集を組み、ゼネラルエディターが「人格の象徴である氏名や人となりなどを知ることで、志半

    相模原事件 「被害者氏名非公表」に従った記者クラブの欺瞞
    einoji
    einoji 2016/09/15
    評論家の呉智英氏は、端的に「差別だ」という。/かつて、出生時または幼少時からの聾唖(ろうあ)者を守るための減刑を規定していた刑法第40条が、『罰せられる権利がないのは差別だ』として削除されたことがある。…
  • 英語の「クレイジー」使用はOKで日本語はダメという欧米崇拝

    ネットスラングではよく見かける「基地外」という言葉を、ある政治家が集会で発言したとして問題視する新聞記事が掲載された。評論家の呉智英氏が、この言葉の由来と、これらの言葉を使うことをかたくなに禁じることのバカバカしさについて解説する。 * * * 5月25日の朝日新聞は、自民党の小島健一・神奈川県議がある集会で発言した言葉を問題視する記事を載せている。小島県議は米軍基地反対運動をする人たちについて「基地の外にいる人、基地外の人」と発言したというのだ。 自慢ではないが、この言葉は1993年に「宝島30」誌の連載で私が最初に使った(『賢者の誘惑』所収)。1990年、丹羽兵助代議士が自衛隊基地を視察中に刺され、病院の輸血ミスのため死亡した。これを、基地内で基地外に刺され血ちがいで死んだ、と書いたのである。 この連載名は「佯狂(ようきょう)賢人経綸(けいりん)問答」である。佯狂とは「狂を佯る(狂人の

    英語の「クレイジー」使用はOKで日本語はダメという欧米崇拝
    einoji
    einoji 2016/06/21
    それにしても「気違い」という言葉が本当に使えなくなっている。一方で「クレイジー」や「マッド」は何のおかまいもなしである。日本語はいけないが英語ならよいという恥ずべき欧米崇拝思想の表われであり…
  • 18歳選挙権施行に備え高校で模擬投票実施するのは無意味

    7月と噂されている参議院選挙では、18歳選挙権が初めて行使される選挙となる。18歳でも選挙についてよくわかるようにと、メディアや高校で様々な啓発・教育が行なわれているが、評論家の呉智英氏は無意味なものが多いと、その空疎さを指摘している。以下、呉氏が解説する。 * * * 改正公選法が6月から施行され、18歳選挙権が実現する。新聞には啓発記事が掲載され、高校では模擬投票も行なわれている。しかし、これが啓発、教育だろうか。 朝日新聞は、昨年末以来、AKB48のメンバー3人を起用し、憲法学者・木村草太、ジャーナリスト・津田大介を交互に講師として、政治の仕組を学ぶと称する企画を随時連載している。AKBを使うのは、ソフトに、ポップに、ということらしいが、質を外していたら何の意味もない。 2月12日付は「国政選挙、AKB総選挙とどう違う?」。問われるまでもなく、誰でも分かる。AKB総選挙で選ばれるの

    18歳選挙権施行に備え高校で模擬投票実施するのは無意味
    einoji
    einoji 2016/05/25
    国政選挙で選ばれるのは立法権者(国会議員)であり、その中から行政権の長(総理大臣)が選ばれる。要するに統治権力の執行者を選ぶのである。AKBのセンターなんて何の権力執行もできない。国政選挙とは全然違う。
  • 「応仁の乱や明治維新は法律違反!」と批判する学者いない

    5月3日の憲法記念日にあわせて発表された世論調査の結果によると、いま、憲法への関心が高まり、議論するべき課題だと感じている人が増えているという。関心は高まっているようにも見えるが、評論家の呉智英氏が、現在の憲法論議がなぜ空虚なものばかりなのかについて解説する。 * * * 3月22日、政府は閣議で鈴木貴子議員の質問主意書に答えて、共産党は暴力革命の方針を変更していないとの認識を示した。 ちょっと見直した、共産党を。私はこの半世紀ほど共産党は暴力革命を未来永劫やめてしまったものと思っていたからだ。折しも憲法記念日をはさんで憲法論議の啓発記事が保革を問わず新聞に掲載されているが、どれも意図的に質論を隠している。 憲法は国の最高法規であり、刑法、民法など全法律は憲法に従っている。しかし、唯一例外がある。条約である。刑法や民法に憲法違反の条項があれば無効であり改正が進められるが、条約はたとえ憲法

    「応仁の乱や明治維新は法律違反!」と批判する学者いない
    einoji
    einoji 2016/05/10
    憲法は国の最高法規であり、刑法、民法など全法律は憲法に従っている。しかし、唯一例外がある。条約である/最高裁は砂川事件上告審で/「高度な統治行為」であるから司法は審査できないとした/憲法論としてはそうなる
  • 自治とは統治権力という温室に護られた「ぬるい統治権力」

    世の中にはおかしなことが様々なことがあるが、評論家の呉智英氏が最近おかしいと感じたことは何か。呉氏が、新聞投書欄で見つけた気になる一文について論じる。 * * * 3月31日付朝日新聞投書欄に興味深い一文を見つけた。投書者は59歳の会社員。「低調だった春闘 組合費下げて」と題されたもので「組合費をはるかに下回るベアしか取れない」のなら「せめて組合費を下げ」たらどうか、と提言している。投書者自身、以前労組の委員を体験しており、その時も「毎月、数千円もの組合費を払っているのに」という声が聞かれたという。 新聞投書欄は、おおむね自社の社是に沿う意見を掲載する。この投書にも、労組よ、もっと厳しく財界や政府を追いつめよ、といった朝日風革新色が感じられる。それはそれでかまわないのだが、実はこの投書は、労組や学生自治会の根的弱点、さらに政治というものの質をあぶり出している。 今でこそこの投書者の指摘

    自治とは統治権力という温室に護られた「ぬるい統治権力」
    einoji
    einoji 2016/04/24
    レーニンの『国家と革命』の一節を思い出す/「自由な人民国家」とはドイツ社会民主主義者の主張である。エンゲルスは、宣伝扇動上の理由からこれを便宜的に認めはしたが、この主張は本質論としてはまちがいである…
  • 【書評】香山リカ氏の運動の先にどんな歴史の見取り図あるか

    書評】『リベラルですが、 何か?』香山リカ 著/イースト新書/861円+税 【評者】大塚英志(まんが原作者) 小林よしのりが歴史教科書問題に前のめりだった時期、盛んに言っていたのは「マルクス主義」に替わる「おはなし」を彼らの陣営はどこに見出していくのか、ということで、成程、ポストモダニストたちが「大きな物語」の終わりを理屈の上で説いたところで人はそう簡単にそれを捨てきれないことに例外的に気がついているのだ、と思った記憶がある。 オウムの幹部たちが麻原の語る「大きな物語」にいともあっさり回収された脆弱なポストモダニストだったことも、終わったはずの「大きな物語」を村上春樹も中上健次も宮崎駿も『ガンダム』もサーガという形で劣化版として1980年代からこちら側、語り続けてきた時点でポストモダンなんか一度たりともやってこなかったことも散々、繰り返し言って来たと思う。 決定的だったのは、湾岸戦争に冗

    【書評】香山リカ氏の運動の先にどんな歴史の見取り図あるか
    einoji
    einoji 2016/03/14
    ’16 3/13 大塚英志 小林よしのりが歴史教科書問題に前のめりだった時期、盛んに言っていたのは「マルクス主義」に替わる「おはなし」を彼らの陣営はどこに見出していくのか、ということで、成程、ポストモダニスト…
  • 「中国人は回転寿司に行け」で炎上した小林よしのり氏の真意

    爆買い目的で日を訪れる中国人観光客の勢いはとどまることを知らず、過去最高となる年間約500万人を記録した昨年に続き、今年の春節(旧正月)も多数の中国人が日を訪れた。 全国各地で春節関連のイベントが催され、街中にも中国語表記が増えるなど国を挙げての「爆買い歓迎ムード」のなか、それに苦言を呈す人物が現れた。『ゴーマニズム宣言』などで知られる漫画家の小林よしのり氏だ。 小林氏は2月20日、自身のブログに突如、「外国人観光客は目障りだ」と題した記事を掲載した。 〈観光客の爆買いなんか当てにして経済回そうなんて姑息すぎる。銀座に行けば、観光バスと、中国人だらけで、銀座の高級感がぶち壊れて妙に景色が薄汚れた感じになってしまった。寿司なんかコメに魚乗せてりゃいいくらいの舌しか持たないくせに、たった6・7人しか座れない高級寿司店に予約入れるのも不愉快だ。中国人は回転寿司に行けばいいのだ〉 この過激な主

    「中国人は回転寿司に行け」で炎上した小林よしのり氏の真意
    einoji
    einoji 2016/03/09
    ’16 3/8 本来の『おもてなし』は、客の側にもそういう公共心があった上で成り立つもの。/中国人がどんだけ騒いでもカネを落としてくれるからと我慢して媚びを売っている。『おもてなし』じゃなくて『おもて媚び』だよ
  • 「オバマ大統領は黒人系か?」 学生と教授で白熱議論

    世の中にはおかしなことが様々なことがあるが、最近評論家の呉智英氏がおかしいと感じたことは何か。同氏は、アメリカのオバマ大統領を「黒人」とすることに異論を唱える。 * * * 2月17日の参院憲法審査会で自民党の丸山和也議員がおかしな発言をして批判を浴びている。アメリカでは黒人の血を引くオバマ氏が大統領になっている、奴隷の子孫である、というのだ。この発言の真意がよく分からない。黒人差別の意図があったのか、奴隷の子孫でも大統領になれる国だという意味だったのか、それとも、ただ何となくこんなことを言ったのか。結局、おざなりの陳謝をして幕引きになりそうだ。 そもそも、オバマ大統領の実父はケニアからの留学生であり、アメリカの黒人奴隷の子孫ではない。丸山発言に差別の意図がなかったとしても、奴隷や黒人問題について無知のそしりは免れない。そして、日人全体がこの問題について無知であることの象徴でもある。 黒

    「オバマ大統領は黒人系か?」 学生と教授で白熱議論
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    einoji 2016/03/01
    ’16 2/29 参院憲法審査会で自民党の丸山和也議員がおかしな発言をして批判を浴びている。アメリカでは黒人の血を引くオバマ氏が大統領になっている、奴隷の子孫である、というのだ。この発言の真意がよく分からない…
  • 【書評】玉砕の島の洞窟の中で生き残った兵隊たちの卑怯とは

    書評】『戦後70年特別企画 卑怯者の島』小林よしのり著/小学館/1800円+税 【評者】平山周吉(雑文家) 「戦後70年特別企画」と銘打たれた小林よしのりの新作『卑怯者の島』は、読者のみならず日人全体を拉致してゆく漫画だ。 われわれが強引に連れ去られていく先は、玉砕の島の洞窟の中である。ひもじさ、みじめさ、疲労、絶望のど真ん中である。ほとんどが召集兵であろう生き残りの兵隊たちには、未練と意地が、私心と勇気が交錯している。 七十年の平和をあたり前に享受してきた身には、紙面に描かれる膨大な死闘と死体を見続けていった先に、やっと兵隊たちの感情の総和を受け容れることができるだけだ。その時、火だるまでつっこむ姿、「隊長、俺を始末してください」と懇願する病兵の表情、粉々になった友の肉体、白兵戦の吶喊の雄叫び、そのどれもが他人事ではないと感じられてくる。 戦場の舞台設定はパラオのペリリュー島が参考に

    【書評】玉砕の島の洞窟の中で生き残った兵隊たちの卑怯とは
    einoji
    einoji 2015/09/04
    ’15 9/4 平山周吉(雑文家) 兵隊たちは追いつめられている。それなのに、慰霊や顕彰などより、もっと深い祈りがこめられていると感じられるのはなぜか。/作者の、あえていえば「悪意」が本物だからだ。
  • ゴー宣評価の呉智英氏 小林よしのり氏『卑怯者の島』を語る

    人の自虐史観的戦争観を翻した『戦争論』から17年、小林よしのり氏が戦場ストーリー巨編『卑怯者の島』を上梓した。京都国際漫画ミュージアムで開催中の「マンガと戦争展」のイベントとして企画された小林氏と評論家・呉智英氏の特別対談。漫画家・小林よしのりに早くから注目し、「ゴーマニズム宣言」を初期から評価していた呉智英氏だが、意外にも小林氏に会うのは「記憶する限り17~18年ぶり」だという。 呉氏は対談で、小林氏の漫画家としての歩みを振り返りながら、新作『卑怯者の島』について、こう評した。 「戦争の実相ということなんです、おそらくは。小林さんは、自分の『戦争論』その他いろんなもので描いてきたので、何となく戦争全面肯定論者みたいに思われているけど、そうではないんだというお気持ちも前からあったはずなので、それがこの作品にはよく出ています。人間は、仮に大義のある戦争に参加するときでさえ、実は卑怯な存在

    ゴー宣評価の呉智英氏 小林よしのり氏『卑怯者の島』を語る
    einoji
    einoji 2015/08/28
    ’15 8/6 呉「さまざまに描かれるだけのものが戦争の中にあったということをわからないと、戦争とマンガということが理解できなくなってきます。戦争も理解できないし、人間も理解できない、歴史も理解できない」
  • 落合GM監督コーチ12人クビ 事務方も中日新聞営業畑から招聘

    中日ドラゴンズの落合博満GMが、これまでと同じ今日に球界の常識を破壊した「オレ流査定」を契約更改で披露しており、球界では衝撃をもって迎えられている。11月13日終了時点で、契約を更改した中日の選手は48人。そのうち年俸アップを勝ち取ったのは12人だけだった。 しかし落合GMとて、何の準備もなく大規模リストラを行なったわけではない。そこには周到な根回しや、リスクヘッジがあった。 まず、大ナタをふるうための環境を整えた。中日新聞関係者が語る。 「最大の後ろ盾である白井文吾オーナーに、しっかりと礼を尽くして心を掴んでいます。オーナーは最近、夫人を亡くしたのですが、色々と不便だろうと、落合GMが“おっかあ”こと信子夫人を伴って白井邸を訪問。事などを世話したりしています」 元々、落合氏の一番の理解者だった白井オーナー。落合氏を呼び戻したのもオーナーだった。 「最初は監督として再登板させる予定だった

    落合GM監督コーチ12人クビ 事務方も中日新聞営業畑から招聘
    einoji
    einoji 2013/11/20
    前体制の監督・コーチ陣が12人もクビに…/事務方も大きく変更。親会社である中日新聞から出向していた坂井克彦・球団社長をはじめ、記者出身の人間が軒並み担当を外され、代わって営業畑出身の人間が招聘されたのだ。
  • 呉智英氏 吉本隆明の「大衆の原像」の理解に一週間かかった

    「戦後最大の思想家」と呼ばれる巨星・吉隆明氏が3月16日に亡くなった。評論家の呉智英氏(65)が「吉隆明」について振り返る。 * * * 戦後の思想家でベスト3とかベスト5を選べと言われたら、客観評価として私は吉隆明を入れるだろう。 全共闘世代の学生、左翼思想傾向の知識人に、確かに大きな影響力があったからである。だが、私は吉に影響を受けていない。むしろ懐疑的であった。 先日の死去に際し、多くの論者が、大衆の視点という言葉で吉を語った。吉の言う「大衆の原像」を踏まえたものである。これは「大衆の真の姿」という意味の造語であるが、当の大衆に「大衆の原像」という言葉が分かるだろうか。 四十数年前、大学生だった私はこの言葉を理解するのに一週間ほどかかった。 もっとも、大衆の原像を組み込まない政治は駄目だという見解は、その通りだと思った。全共闘にしろ、その前の全学連にしろ、「目覚めた大衆」

    呉智英氏 吉本隆明の「大衆の原像」の理解に一週間かかった
    einoji
    einoji 2012/04/05
    吉本の「大衆の原像」が完全に破綻したのはオウム事件の時だった。「麻原彰晃を高く評価する」という珍論を発表し、大衆を唖然とさせた。吉本の「大衆の原像」は「大衆の幻像」だったのである。この頃から…
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