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「贈与の歴史学」書評 合理的でドライだった中世人|好書好日
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贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ (中公新書) 著者:桜井 英治 出版社:中央公論新社 ジャンル:新書... 贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ (中公新書) 著者:桜井 英治 出版社:中央公論新社 ジャンル:新書・選書・ブックレット 贈与の歴史学―儀礼と経済のあいだ [著]桜井英治 お歳暮の手配が終わったら年賀状を書き、出していない人から賀状が来たら慌てて返す。たとえそれが、すぐに顔を合わせる人であってもだ。もらったからにはお返ししなければならない、という意識は、現代でも脈々と生き続けている。 こうした贈答儀礼を虚礼だ、建前ばかりで情が薄い、などと批判する人が本書を読んだなら驚くことだろう。主従関係が血より濃く、絆で深く結ばれた共同体が形成された時代、というイメージが広く流通している中世像だが、こと経済活動に関していえば、その姿はあっけなくくつがえされるからだ。中世人は贈答において、現代人以上に合理的かつドライな計算をしていたのである。 中世では、贈答品は「もらって嬉(うれ)しいもの」ではない。物