新東名高速道路を降り、自動車がすれ違うのも困難な細い山道を走って約30分。山肌にしがみつくように古民家が点在し、はるか彼方に遠州灘を見下ろす静岡県磐田市万瀬(まんぜ)の集落にたどり着いた。10世帯、28人が暮らす集落には、かつては水田や茶畑、みかん畑が広がり、子どもの遊び声が聞こえた。今、働き手のいなくなった畑は自然にかえり、ウグイスの鳴き声が時折響いている。 「このまま手をこまねいていれば、集落の名前が消えてしまう」。住民たちは危機感を募らせていた。公的な支援を活用して食品加工場や飲食施設を建設するなど、あの手この手で集落の活性化を目指したものの、万策尽きた。住民の減少や高齢化には抗えなかった。 そんな集落で、今月からイスラム教の戒律に従って処理されたハラール食品の製造が始まる。取り組むのは、現在浜松市内で飲食業を営むインドネシア人一家だ。使われなくなり、静まりかえっていた加工場に人が戻
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