中国東北部や朝鮮半島の鉄道旅行は、21世紀になってから急ピッチで高速化が進み、利便性が向上し、快適になった。車両や駅舎は次々と新しくなり、チケットレスサービスなどでは日本の鉄道より先んじていると感じることさえある。 その一方で、20世紀前半に建設された古風な駅舎を、改良を重ねながら今も現役で使用していたり、史蹟や産業遺産として保存しているケースも見られる。そんな駅には、どんなに最新鋭の高速列車が発着していても、伝統ある駅舎の内外には、最先端の中央ターミナルではなく古風な“停車場(ていしゃば)”の雰囲気が漂う。 これらの駅に共通するのは、日本国外の鉄道駅なのに、80年から100年以上前の大日本帝国時代の鉄道旅行の面影が、独特の異国情緒として感じられる点である。どんなに伝統ある日本国内の鉄道駅に降り立っても、同じ感覚は体験できないだろう。コロナ禍で気軽に訪れることが難しくなってしまったこれらの