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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (152)

  • 「カタルーニャ語が第一言語」と「独立賛成派」どちらが多いか

    カタルーニャ独立旗で自分の口を覆う青年。自治剥奪に伴い、スペイン政府が直轄するカタルーニャ州庁の前で、自治奪回と政治犯の釈放を求めるデモ(11月8日) Photograph by Toru Morimoto <スペイン語よりフランス語に近いカタルーニャ固有の言語「カタルーニャ語」。カタルーニャ人のアイデンティティーの象徴だが、独立をめぐる議論では「ねじれ」が見られる> カタルーニャには固有の言語「カタルーニャ語」がある。スペイン語の方言と思われがちだが、俗ラテン語から派生した南仏を拠点とするオック語圏の言語であり、イベリア半島を拠点としてアラビア語の影響を強く受けているイベロ・ロマンス語圏のスペイン語とは成り立ちが異なる。 スペイン語が第一言語の人々にとって、カタルーニャ語は厄介だ。例えば「べる」はカタルーニャ語では「menjar(マンジャ)」、フランス語では「manger(モンジェ)」

    「カタルーニャ語が第一言語」と「独立賛成派」どちらが多いか
  • カタルーニャ「独立」は第2のスペイン内戦を呼ぶか

    「違憲」の住民投票を阻止するため投票所になだれ込む警官隊(10月1日、スペインのサン・ホリア・デ・ラミス) Juan Medina-REUTERS <カタルーニャの独立をめぐるスペイン中央政府との対立は、もはや交渉で解決可能なレベルではなさそうだ> スペイン中央政府とカタルーニャ州政府は過去5年間、カタルーニャの独立をめぐり対立してきた。住民投票の間もその後も、互いに一歩も引かない構えだ。 カタルーニャ州政府は、住民投票を違憲とするスペイン政府の反対を押し切って、10月1日に独立の是非を問う住民投票を行った。カルレス・プッチダモン州首相は同日夜、同州は独立国家となる権利を獲得したと宣言。一方では、投票を阻止しようとする警官隊と住民が衝突。州政府によると住民400人以上が負傷した。カタルーニャ側は、「賛成」多数となれば48時間以内にも独立を宣言するとしている。 中央政府はこれまで、カタルーニ

    カタルーニャ「独立」は第2のスペイン内戦を呼ぶか
  • 「二次元経済」とは何か? 中国ビリビリマクロリンク取材記

    ビリビリワールドにて。マスコットキャラクター「22娘」「33娘」のコスプレをするコンパニオン(ビリビリ動画提供) <日のニコニコ動画にインスパイアされて始まった中国の動画配信サイト「ビリビリ動画」。10万人を集客する、その年に1度の祭典「ビリビリマクロリンク」で見た新潮流の実態とは?> 中国には「二次元経済」という言葉がある。 中国IT業界の雄、テンセントの映画部門であるテンセントピクチャーズの程武CEOが2015年に提唱した概念で、「優秀なアニメ・マンガ原作(知的財産=Intellectual Property、IP)を育て、ゲーム映画、文学など関連製品に広げ、流行文化を創り上げる」という内容だ。 時価総額3兆香港ドル(約42兆円)を誇る巨大企業グループがアニメ、マンガとはなんともニッチな商売をしている......と思われるかもしれないが、不思議な話ではない。テンセントはQQや微信(

    「二次元経済」とは何か? 中国ビリビリマクロリンク取材記
  • 地方都市のスナックから「日本文明論」が生まれる理由

    <首都大学東京の谷口功一教授が中心となり、学者たちが大真面目にスナックを研究して生まれた『スナック研究序説』。なぜ夜の街、酒場を研究するのか?> 日における移民・難民を法哲学の視点から研究し、「日人」の再定義を説く首都大学東京の谷口功一教授。このたび『スナック研究序説――日の夜の公共圏』(白水社)を編者としてまとめた。なぜ法哲学者が夜の街、酒場を研究するのか? その意味について、谷口教授に聞いた。 スナックと法哲学の関係 私が専門にしている法哲学は、「法とは何か?」という基礎的かつ根的な問題を考える領域と、もうひとつ、「正義とは何か?」を現実との関係の中で考える領域の2つから成り立っています。 私は長年、この後者の中に含まれる問題のひとつとして「公共性とは何か?」ということについて研究してきました。『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房)で日でも有名になった、ハーバード大学

    地方都市のスナックから「日本文明論」が生まれる理由
  • 旧ソ連圏でロシア文字が衰退 若者のSNS人気が致命傷?

    空港案内でロシア語、英語と並ぶカザフ語(一番上)もローマ字化する Shamil Zhumatov-REUTERS <20世紀にトルコ系民族を東西に引き裂いたソ連化のくびき。カザフ語のローマ字化で進むユーラシアのロシア離れ> 中央アジアの大国カザフスタンはカザフ語のロシア文字表記をやめて、欧米で幅広く用いられるローマ字表記に移行を始めた。この動きは、ロシア文字で自国語を表記してきた旧ソ連諸国から注目されている。 早くも06年に「ローマ字は情報通信の世界を席巻している」と述べていたカザフスタンのナザルバエフ大統領は、今年月に国営メディアを通して論文を発表。25年にローマ字に完全移行するスケジュールまで示した。 カザフ人はユーラシアに広がるトルコ系諸民族の一員だ。イスラム教を信奉するこうした諸民族は、古くは自分たちのトルコ系諸言語をアラビア文字で表記してきた。当時はアラビア文字とトルコ語の知識が

    旧ソ連圏でロシア文字が衰退 若者のSNS人気が致命傷?
  • 夏に初詣も!? 御朱印ブームだけじゃない神社界の新潮流

    <昨今の神社ブームは自然発生したもの? 歴史ある神社も、経済的に見れば1つの事業所。より多くの人に来てもらうため、神職による新たな取り組みが日各地で始まっている> 私も2度出演させてもらった人気テレビ番組『お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺』が終了したことで、巷では「お坊さんバブルが弾けた」と言われている。 茨城県石岡市にある常陸国総社宮の禰宜(ねぎ)である私は、「お坊さんVS神主さん」的な回に出演したのだが、確かにテレビをほとんど見ない私でさえ、一時期は様々な番組で仏僧の方々の活躍を目にした。 一方の神社界といえば「神主さんバブル」はついぞ来ていないが、新しい何かが起こっているという雰囲気が一般の方にも感じられているようだ。 神社というと昔から行われていることをただただ続けていくだけ、と考えている方もいるかもしれない。それは神社を運営する神職側にも言えるし、参拝する氏子や崇敬者側にも当て

    夏に初詣も!? 御朱印ブームだけじゃない神社界の新潮流
  • なぜ、いま「著作権」について考えなければならないのか?―ヨーロッパの現場から

    著作権はどうあるべきか  2016年、アンネ・フランクの『アンネの日記』とヒトラーの『わが闘争』がパブリックドメインになった 2016年は、パブリックドメインのビッグ・イヤーだった。パブリックドメインとは著作物の著作権が切れて権利者の許諾なしに作品が自由に使えるようになることで、日でも江戸川乱歩、谷崎潤一郎、中勘助など有名な作家が2016年に死後50年を迎え、作品がパブリックドメインに入った。 ヨーロッパでは2016年、このパブリックドメインがとくにおおきな話題を呼んだ。2016年は、アンネ・フランクの『アンネの日記』とヒトラーの『わが闘争』がパブリックドメインに入ったからである。 この「パブリックドメイン」のように、ヨーロッパでは「著作権」の問題がしばしば話題に上がる。ユーザーの権利はどこまで認められるべきなのか、創作物が公共に与える役割とはなんなのか、といった視点から現在の「著作権」

    なぜ、いま「著作権」について考えなければならないのか?―ヨーロッパの現場から
  • 『怪談』の小泉八雲が遺していた、生涯唯一の料理書

    <米南部ニューオーリンズの伝統料理であるクレオール料理。その世界初の書物をいまから約130年前に書いた人物がいる。ラフカディオ・ハーン、のちの小泉八雲だ。ハーンにとって唯一の料理書ともなったこの貴重なはいかにして生まれたのか> アメリカ南部ルイジアナ州にあるニューオーリンズは、全米屈指の観光都市だ。ジャズ発祥の地であり、リオデジャネイロと並び称されるカーニバルの街でもある。 この街はもともとフランス人によって建設され、スペイン領になったり、フランスに返還されたりしたのちに、アメリカ合衆国の都市となった。 そんな歴史的背景から生まれたのが、他のアメリカの都市とは違う、異国の香りただようクレオール文化だ(「クレオール」とは、フランス・スペイン系の人々とアフリカから来た奴隷や先住民などとの混血を指す)。そしてこの街を語る上で欠かせないのが、クレオール料理である。 ニューオーリンズの伝統料理であ

    『怪談』の小泉八雲が遺していた、生涯唯一の料理書
  • 私たちは「聖人君子の集まり」じゃない!

    <「国境なき医師団」(MSF)を取材する いとうせいこうさんは、ハイチ、ギリシャで現場の声を聞き、今度はマニラを訪れた。そして日人スタッフ 菊地寿加さんに、なぜMSFに参加し、どんな日常を送っているのかを聞いた> これまでの記事:「いとうせいこう、『国境なき医師団』を見に行く 」 前回の記事:「マニラのスラムの小さな病院で」 菊地寿加(すが)さん 「わたしは4月末からこっちへ来て、来ならもう任務を終えて帰ってるはずなんですけど、子宮頸癌のワクチンが手元に届くのに時間がかかってしまったので、まだステイしてるんです」 と国境なき医師団(MSF)の日人看護師・菊地寿加(すが)さんは言った。場所はマンションから歩いてすぐのフィリピンレストランで、俺たちは夜の8時過ぎに玄関で待ち合わせて、薄暗い道を歩いてきたのだった。11月23日のことだ。 けっこうきちんとしたレストランだったので、特に俺は挙

    私たちは「聖人君子の集まり」じゃない!
  • 究極のブラックホールをつくりだす、地上で最も黒い素材とは?

    <英企業「サレー・ナノシステムズ」が開発した、紫外線や赤外線、可視光の99.965%を吸収する、地上で最も黒い人工物『ベンタブラック』の活用が拡がりつつある> 『ベンタブラック(VantaBlack)』とは、紫外線や赤外線、可視光の99.965%を吸収する、地上で最も黒い人工物。英国の国立物理学研究所(NPL)らとの提携のもと、英スタートアップ企業のサレー・ナノシステムズ(Surry NanoSystems)によって2014年に開発されたものだ。近年、軍事および航空宇宙分野を中心に、その活用が広がりはじめている。 物体は、光があたると、その反射の強さによって、ヒトの目などにある光受容体への光が多くなったり少なくなったりすることで、明るく見えたり暗く見えたりする。 『ベンタブラック』は、"垂直に並んだナノチューブの配列(Vertically Aligned NanoTube Arrays)"

    究極のブラックホールをつくりだす、地上で最も黒い素材とは?
  • 折り紙研究から生まれた折り畳み式防弾シールド

    <繊維製なのに銃弾もはじく。その秘密は折り紙の原理だ> 米ユタ州のブリガム・ヤング大学にある柔軟機構研究所には、いたるところに精巧な折り紙作品が散らばっている。子供の遊びではない。研究者たちの機械工学プロジェクトに必要なインスピレーションを得るための試作品だ。 「折り紙の芸術家たちは、普通の工学的アプローチでは見つけられなかった構造や動作を何世紀もかけて発見してきた」と、研究所を統括する機械工学専門のラリー・ハウエル教授は言う。ハウエルの研究チームは2012年、折り紙の原理を利用した工学の研究を進めるべくNSF(国立科学財団)からの資金調達に成功。これまでに、NASA(米航空宇宙局)向けの巨大な折り畳み式太陽電池パネルや、畳んで体内に入り幹部で広げることで侵襲性を最小限にする医療用マイクロロボットなどをデザインしてきた。 銃乱射事件への備えにも 最新の作品は、警官などが撃ち合いに遭遇したと

    折り紙研究から生まれた折り畳み式防弾シールド
  • 「ホントは、マタタビよりもゴハンよりも人間が好き」――猫より

    「犬は人につき、は家につく」という言い習わしがある。これは、犬は飼い主(人)を愛するが、は飼い主ではなく家に愛着を持っている、という意味で、は人間をそんなに好きなわけではないという考えが、まことしやかに信じられて来た。しかしこの常識が覆される研究結果が発表された。 べ物、おもちゃ、におい、人間、どれを選ぶ? 実験を行ったのはクリスティン・ビターレ・シュリーブ氏率いるオレゴン州立大学の研究チーム。 研究チームは、が実際は人間とさまざまな関わり方を楽しむにもかかわらず、「社交的でもなければしつけしやすいわけでもない」という正しくない通説が通っていると指摘。がしつけしにくいとされているのは、しつけの際に何を動機付けとして使うべきかを私たち人間が知らずにしつけしようとしているためと考えた。 そこで、はどんな刺激を一番喜ぶのかを見極めるため、インディペンデントによると55匹の(飼い

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  • 自衛隊の南スーダン撤退で見えた「積極的平和主義」の限界

    <治安悪化が深刻な現地から自衛が引き揚げれば、日はリスクを負わない国だと思われる> 日政府は今月10日、国連の南スーダン派遣団に参加している陸上自衛隊の施設部隊を5月末で撤収させる方針を決めた。部隊は12年から平和維持活動(PKO)に加わり、首都ジュバ近郊で道路建設などに当たってきた。 安倍晋三首相は記者会見で、部隊が担当する施設整備に「一定の区切りをつけることができると判断した」と説明。今後は「積極的平和主義」の旗の下、人道支援などで平和づくりに貢献していくと強調した。 公式見解はさておき、今回改めて浮き彫りになったのは、海外で人道支援や災害救援以外の任務に当たる自衛隊の限界だ。安全保障関連法が昨年3月に施行されたにもかかわらず、日が果たす「積極的な」役割は大幅に限られている。 その原因は、今なお日政治と社会に強く残る、自衛隊海外で戦闘に近い状況に直面することへの強い抵抗感。

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  • 「村上春樹による小澤征爾インタビュー」はどこが凄いのか?

    この年末年始に読むべきを1冊だけ挙げるとしたら『小澤征爾さんと、音楽について話をする』というタイトルで新潮社から出ている、小澤征爾氏に対する村上春樹氏によるインタビューを推薦したいと思います。インタビューを活字にしたという変則な作りのではありますが、期待した以上の内容であり読み応え十分でした。 まず驚いたのは村上氏のインタビューの姿勢です。一定程度の音楽の知識を前提としつつも、数多くの音楽ファンの「平均的な視点」から一切ブレることなく、適切な質問と反応を繰り出してくる、まるでプロのインタビューアーのような、最上のプロフェッショナリズムがそこには感じられました。 一連の「世界との距離感(デタッチメント)」を描いた小説群から、「ねじまき鳥」を転回点として、オウム事件の被害者と加害者の双方の取材などを通じて「他者との、そして世界との関わり(コミットメント)」へと創作の姿勢を移しつつあるという

  • 靖国参拝で崩れた、真珠湾追悼の「和解」バランス

    <安倍首相とオバマ大統領の真珠湾追悼は、広島と対になる相互性もあり、外交的に評価できる。ところが、直後に防衛相が靖国神社を参拝したことで、日米が打ち出した「和解」のバランスは崩れてしまった>(写真:真珠湾の日米共同追悼は成功だったと言えるが) 安倍首相とオバマ大統領の真珠湾献花については、「スター・ウォーズ」のヒロイン、レイア姫を演じたキャリー・フィッシャーの急逝というニュースと「扱いを争う」という妙な事態となりました。 そうではあるのですが、例えばCNNでは録画ながら両首脳のアリゾナ・メモリアルでの黙祷シーンはカットせずに放映されています。オバマより安倍首相が深く頭を垂れ、しかもアメリカの常識では極めて長い黙祷をして、大統領に促されて頭を上げるという映像はバッチリ流れていました。 その後のスピーチについても、原文では「その御霊よ、安らかなれ・・・」と祈るように語った部分が、'Rest i

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  • 欧州出版界に「衝撃」。図書館の電子書籍貸出に合法判断

    EU裁判所(ECJ, CJEU)は11月10日、オランダの図書館がE-Book貸出の合法性確認を求めて提訴していた裁判で、E-Book(電子書籍)の貸出を印刷と同一条件で認める判決を下した。欧州の出版社団体は、「無制限なE-Bookの貸出しは、出版社の収入に対する重大な脅威である」とする声明を出して批判している。 "one copy, one User"モデルでフェアユース原理を適用 件は、オランダの公共図書館協会 (Vereniging Openbare Bibliotheken, VOB)と版権徴収団体 (Stichting Leenrecht, SL)が当事者となり、VOBによるE-Bookの貸出にライセンスが必要となるかを確認するもの。オランダの法律では、著作物が図書館から貸出された際に版権料が発生するものとされている。ECJ判決は、貸出しが「1部1ユーザー」モデル(1回に1ユ

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  • 活字離れの今、この「活字」と印刷の歴史資料を堪能する

    <出版不況の今こそ訪れたい文京区の「印刷博物館」は、世界の印刷に関する歴史資料が豊富。日で最初の銅製活字から世界最古の印刷物である「百万塔陀羅尼」、日初の格的な翻訳書「解体新書」まで、知の発展を支えてきた印刷文化を深く知ることができる> (写真:重要文化財の「駿河版銅活字」。朝鮮から伝来した銅活字をもとに徳川家康が造らせた日で最初の銅製活字で、京都伏見と駿河で3度に渡り約11万が鋳造されたが、火災などにより大半が消失。この資料を含め約3万8000のみが現存する) 【シリーズ】日再発見「東京のワンテーマ・ミュージアム」 日における出版物の販売額がピークを迎えたのが1996年のこと。奇しくもその前年には、マイクロソフトのOS「Windows95」が発売され、全世界でインターネットが爆発的に普及。この"新たな文明"の誕生に伴って、多くの無料媒体を含むウェブメディアが登場した。その

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  • インターネットで政治は変わる? 海賊党・欧州議会議員と考える「液体民主主義」の可能性

    インターネットユーザー協会(MIAU)主催のシンポジウム。パネリストはレダ議員のほか、東京大学/慶應義塾大学教授の鈴木寛さん、東京大学特任研究員/スマートニュースCEOの鈴木健さん、政治学者の吉田徹さん。モデレーターは津田大介さん (photo: CC0 1.0 Rio Nishiyama) 「インターネットで政治を変える」− そんな謳い文句が新書のタイトルに並ぶようになってから、どれくらいがすぎただろうか。ネット選挙やネットを活用した政治は、日ではときに流行りの兆しを見せながらもいまいち格的な運動にならない、そんな現象であり続けてきたように思う。 いっぽうで、海を越えたヨーロッパでは、「インターネットをつかった政治のあたらしいあり方」がさまざまな形で実験されてきた。その代表的な例のひとつが、「海賊党」という新政党による「液体民主主義」というシステムだ。 海賊党は2006年にスウェーデ

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  • パラリンピックもいいけれど実用的な障がいアシストを競う「サイバスロン」にも注目せよ!

    2016年パラリンピックがついに明日、開催される。障がいを抱えるアスリートらは車椅子バスケや盲目ラグビー、カヌーなどを含む528種目に向けて最後の準備を進めているところだろう。 さて、トレーニング手法や装備がより技術的に進むなか、パラリンピックにおけるテクノロジーの立ち位置に疑問を投げかける人もいる。 VISTA 2013で「パラリンピックにおける設備とテクノロジー」というテーマが取り上げられて以来、人々はパラリンピックにおける高額な装備のコストについて問いを投げかけてきた。「パフォーマンスを向上するためのテクノロジー」を開発する資金に恵まれている人がメダルを独占し、また、「その科学技術はアスリートの素のアビリティを凌駕するものではないのか」などという疑問である。 かつてパラリンピックの水泳で活躍し、現在はサンシャイン・コースト大学の生体工学教授を務めるブレンダン・バーケット氏は次のように

    パラリンピックもいいけれど実用的な障がいアシストを競う「サイバスロン」にも注目せよ!
  • 「キンドル読み放題」の隠れた(けれども大きな)メリット

    <日でもようやくスタートしたKindle Unlimited。約2年前にスタートしたアメリカでもそのメリットとデメリットが議論されているが、何より大きなメリットは減少する「読書人口」を取り戻すところにある> アメリカでは2014年7月に始まったアマゾンのKindle Unlimited(キンドル読み放題)サービスが、今月ようやく日でもスタートした。アマゾンがリストアップした12万冊以上の、コミック、雑誌および120万冊以上の洋書作品が、月額980円で読み放題になるというものだ。 アメリカでは、オーディオブックも「読み放題」で読める作品があるが、日のサービスには含まれていない。その代わりに、コミックを含む和書と洋書の両方が楽しめるメリットがある。筆者はアメリカでの公式スタートよりも前から、2年以上Kindle Unlimitedを使っている。その体験から、「毎月980円払う価値がある

    「キンドル読み放題」の隠れた(けれども大きな)メリット