私があなたに手紙を書こうと思ったのは、かならずしも週刊読書人の編集部のすすめによるのではありません。あなたとはまえまえから一度ゆっくり話してみたいと思っていました。なぜならあなたと私は多くのところで一致しながら、基本的なところで違っているように思われるからです。だいいちあなたと私は同じ大正十四年の生れ、最後の戦中派という世代に属し、趣味、思想にも多くの共通点があるように思われるのです。 あなたと林房雄さんとの対談、『対話・日本人論』の中では新しく出現した助教授クラスの新国語派について語られていますが、私が新国語派に属するかどうかはとにかく、最近の私の思想的な情熱の多くは、日本文化とは、日本精神とは何であり、それが今後の世界の思想に対してどういう意味を持つか、ということを究明するのに注がれています。この対談を読みますと、あなたも私と同じような問題を考えていられるようです。おたがいにナショナリ